
開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します。
喜多川歌麿
教訓親の目鑑 憎振
享和2年(1802)頃
本図は、美しい女性の背中を按摩が揉んでいるところ。あるいは画中文の内容から、座頭とその妾とも考えられる。文には、男に貢がれた金で若い女中をこき使うような不遜な女にならないよう、まじめに暮らすようにとの教訓が書かれている。
画中文:いやしきものの急にへのぼりたるハ別してしさひらしき物なり たつた壱人りの小女を勝手はたらき小間使い二やくかねての大はたらきハ くたひれもしつらんにそのやうしやもなく又銭湯へのおともをおおせつけられゆかたかかへてのおくりむかひ さりとハにくらしきつらがまへと 人の評判にかかるもはかなきことならずや かくのことく小女の壱人りもめしつかひふじゆうなくくらすというもまつたくおのれかはたらきにあらす てんとうさまよりかく我身をやしなひくれるあほうをさづけたまハりし物なりなを此うへにも正直こころをなをしくらすものならバ 世にまたいくたりともあるばか物何ヶ度もひきかへさづけ給ふべし かへすかへすもしんじんおこたる事なかれ つつしむべしつつしむべし