
開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します。
歌川国芳
相馬の古内裏
弘化2-3年(1845-46)頃
山東京伝の読本『善知安方忠義伝』に取材した本図は、国芳の代表作の1点。相馬の古内裏は、相馬小次郎こと平将門が下総国に建てた屋敷で、将門の乱の際に荒れ果ててしまっていた廃屋。妖術を授かった将門の遺児滝夜叉姫と良門は、父の遺志を継いでこの廃屋に仲間を募り、やがて妖怪が出没するようになる。それを知った源頼信の家臣、大宅太郎光国は妖怪を退治してその陰謀を阻止する。原作では複数の骸骨が現れるが、国芳はこれを巨大な一体の骸骨に置き換えることによって、迫力ある画面構成を生み出すことに成功している。
画中文:相馬の古内裏に将門の姫君瀧夜刃妖術を以て見方を集る大宅太郎光国妖怪を試さんと爰に来り竟に是を亡ぼす