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「とことんみせます!富士美の浮世絵」出品作品紹介(6)

開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します。

戯画堂芦ゆき
二代目藤川友吉のとなみと二代目沢村国太郎の錦のまへ、三代目尾上菊五郎の菅相丞、浅尾額十郎の武部源蔵と嵐舎丸の稀王
文政9年(1826)

 菅原道真が、藤原氏の陰謀によって左遷された事件などに取材した「時代物」の「義太夫狂言(もともと人形浄瑠璃のために書かれた作品)」。帝の寵愛をうける菅丞相を妬んだ藤原時平は、讒言を用いて彼を失脚させる。太宰府へと流された菅丞相は、時平の皇位簒奪の野望を知り、雷神となってと紀平一味を滅ぼす。2人に関係するさまざまな人物の親子の別れが表現され、『仮名手本忠臣蔵』・『義経千本桜』と並ぶ、「義太夫狂言」の三大名作の1つとされる。
 本作は「菅原伝授手習鑑」の一段目。菅丞相こと右大臣菅原道真は筆法の大家で、天皇よりその筆道の奥義を弟子に伝えるよう勅命をうける。弟子の左中弁希世は自分が伝授されるものと思っているがその器ではない。そこに菅丞相のかつての弟子で、腰元戸浪と不義の仲となり勘当の身となっていた武部源蔵が呼ばれて来る。希世の妨害も意に介さず見事な筆の冴えを見せた源蔵に、菅丞相の筆法が伝授されることになる。傍らでは源蔵の妻戸浪が心配そうに見守っている。
(本作は前期のみ展示)

戯画堂芦ゆき [生没年不詳]
 芦ゆきは、文化 10 年(1813)頃から天保 6 年(1835)頃まで上方で活躍した 浮世絵師。はじめ有楽斎長秀の門人として絵を学び、のちに浅山芦国の門人となった。役者の表情やしぐさなどの大胆な表現に優れた手腕を発揮し、よし国や国広とともに、文政年間(1818−1830)の上方浮世絵の中心を担った。門人に幸国がいる。

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