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「とことんみせます!富士美の浮世絵」出品作品紹介(5)

開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します。

春梅斎北英
三代目中村歌右衛門の梶原平次、三代目中村松江のこし元千鳥
天保1年(1830)

 「ひらかな盛衰記」は、「ひらがな」と読むが、「源平盛衰記」をやさしく仮名書きにしたという意味。源平合戦の源義経の木曽義仲征伐から一の谷の合戦までを背景として、宇治川の先陣争い、粟津ヶ原の戦い、義仲四天王の一人樋口次郎兼光の忠死、生田の森、逆櫓の事、梶原景季と千鳥の恋愛物語などを軍記物語の史実と虚構を取り混ぜて戯曲に仕込んだものである。
 本作は鎌倉の梶原平三景時の館での一場面。景時と長男の源太景季は、平家討伐のため、宇治川の合戦に出陣していた。臆病な次男の平次景高は病気で出陣しなかったのだが、これは仮病であった。さらに、兄景季の恋人千鳥に横恋慕していた景高は、これ幸いとばかりに、兄の居ぬ間に千鳥に迫るが、この後都からの急使が到着し、景高の悪巧みは不首尾に終わる。
(本作は前期のみ展示)

春梅斎北英 [生年不詳〜天保7年(?−1836)]
 北英は、文政11年(1828)頃から天保7年(1836)まで活躍した上方の浮世絵師。北洲の門人。人物描写や描線には、師と同じように北斎の影響が伺える。華やかで濃厚な色彩によって人物や背景を丹念に描き出す力量は、当時から高く評価され、柳斎重春とともにこの時期の役者絵の中心を担っていた。門人に春寿、北寿、北雪、北信、北妙などがいたが、いずれも寡作絵師であった。

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