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「江戸絵画の真髄」展出品作品紹介(12・最終回)

現在好評開催中の「江戸絵画の真髄」展、初公開作品18点を含む70点の江戸絵画の魅力満載の展覧会です。本展の会期もいよいよこの週末(6月29日)までとなりました。 “見逃せない”作品ご紹介も今回が最終回となります。お見逃しなく!

谷文晁(たにぶんちょう、1763-1840)
《溪山訪友図(けいざんほうゆうず)》
文化9年(1812)
紙本墨画・軸装
94.0×157.7cm
※展示期間:全期(4月8日〜6月29日)

本作は古くから知られる傑作《水墨山水図屏風》を彷彿とさせる大幅で、脇書きに「壬申秋日(じんしんしゅうじつ)」とあり、同作の描かれた文化9年9月前後に制作されたことを物語っています。まず遠景にそびえる墨色豊かな山の量塊(りょうかい)が胸に迫り、続いて中景の漂う雲、近景の森に目をやると、細い山道に山中の人家を目指す村人が見えてきます。文晁の盛期とされる寛政期から晩年へと向かう時期にあたりますが、彼の極まりつつある墨画表現の粋を味わえる秀品といえるでしょう。
(東京富士美術館 学芸員 宮川謙一)

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