
現在好評開催中の「中国陶磁名品展」、ユニークな器形、豊かな色彩、技量の見事さ等々、懐の深い中国陶磁の魅力に、1点1点時間をかけて丹念に鑑賞されているお客様が多くいらっしゃいます。そこで、特色のある“見逃せない”作品をピックアップしてシリーズでご紹介して行きたいと思います。
本日は黒に映える目にも鮮やかな色彩の美しさ、ブラックホーソンと呼ばれて珍重される“蓮華の池を描いた一対の角瓶”です。
出品番号124
景徳鎮窯《五彩蓮池文方瓶(ごさいれんちもんほうへい)》
清・康煕期(17─18世紀)
(左)高47.7cm、口径11.5cm、幅14.4cm、奥行14.5cm、底幅11.2cm、底奥行11.4cm
(右)高47.7cm、口径12.0cm、幅14.4cm、奥行14.5cm、底幅11.0cm、底奥行11.1cm
やや上部の広がる方形の胴部に、口縁部が外反する口頸部が付く瓶。白磁の器胎に口縁端部と稜線を残して黒で塗り込め、さらに緑釉を塗り重ねて、光沢のある漆黒色の黒色を作り出している。黒地の器面は白い縁取りの画面に仕立てられ、頸部と胴部4面は緑を主体とし、くすんだ赤・黄・紫で蓮池文が描かれている。底裏中央部は四角に彫り込まれ、青花で葉文のマークが描かれている。
兵庫陶芸美術館 学芸課長 長谷川眞/「中国陶磁名品展」カタログ(編集:兵庫陶芸美術館、2012年発行)所収
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