
現在好評開催中の「中国陶磁名品展」、ユニークな器形、豊かな色彩、技量の見事さ等々、懐の深い中国陶磁の魅力に、1点1点時間をかけて丹念に鑑賞されているお客様が多くいらっしゃいます。そこで、特色のある“見逃せない”作品をピックアップしてシリーズでご紹介して行きたいと思います。
本日は動物シリーズ第3弾!“ペット?の猿とともにラクダに乗るソグド人”です。突っ込みどころ満載の本作をお楽しみください。
出品番号24
《緑褐釉騎駝胡人(りょくかつゆうきだこじん)》
唐(7世紀)
高46.3cm、幅38.4cm、奥行17.4cm
駱駝をかたどった動物や、壁画に駱駝が描かれるのは北朝時代以降である。それは鮮卑族(せんぴぞく)が北朝に加わるようになったことと無関係ではない。山西省太原の楼叡墓(570年)の壁画には駱駝の群像が描かれている。この駱駝に騎乗する髭(ひげ)を蓄(たくわ)えた男は胡人(こじん)。胡人とはソグド人で、中央アジアに源をもつ商業民族である。駱駝を運送手段に、西方の珍宝を運んだのである。駱駝の背にはカーペットが敷かれ、その上には大きな荷が積まれている。荷台には胡人のペットのサルが乗る。長旅の友なのであろうか。
兵庫陶芸美術館 副館長 弓場紀知/「中国陶磁名品展」カタログ(編集:兵庫陶芸美術館、2012年発行)所収