
現在好評開催中の「中国陶磁名品展」、ユニークな器形、豊かな色彩、技量の見事さ等々、懐の深い中国陶磁の魅力に、1点1点時間をかけて丹念に鑑賞されているお客様が多くいらっしゃいます。そこで、特色のある“見逃せない”作品をピックアップしてシリーズでご紹介して行きたいと思います。
本日は動物シリーズ第2弾!“白磁製の象のろうそく立て”です。
出品番号30
《白磁象形燭台(はくじぞうがたしょくだい)》
唐(7世紀)
高27.3cm、幅30.9cm、奥行18.7cm
類例の少ない作品である。本体を象の形に作り、背に6本の筒型のロウソク立てを備えている。台座は長方形で、台座の周りには蓮弁(れんべん)を巡らせている。象の体には様々な飾りが取り付けられ、背には丸いカーペットの敷物が敷かれている。白磁は6世紀後半、河南省鞏義窯(きょうぎよう)や、河北省邢窯(けいよう)で本格的に生産が始まったが、その完成は8世紀後半である。この作品の年代は蓮弁の様式や造形、白磁の釉溜(ゆうだ)まりなどからみて、唐時代前期、7世紀後半の作と考えられる。象の姿、台座、ロウソク立てに巡らされた蓮弁など、仏教的要素が強く感じられる作品である。
兵庫陶芸美術館 副館長 弓場紀知/「中国陶磁名品展」カタログ(編集:兵庫陶芸美術館、2012年発行)所収