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「光の賛歌 印象派展」出品作品紹介

クロード・モネ(1840-1926)
《アヴァルの門から見た針岩、エトルタ》
1886年 油彩/カンヴァス 65.2 × 92.1 cm
左下に署名、年記:Claude Monet 86
カナダ国立美術館
© NGC

1885年の9月から12月にかけて再びモネはエトルタで制作する。明けて1886年の2月~3月にかけても再び滞在した。この間の制作年と署名がサインされたエトルタの風景画はおよそ50枚にも及ぶため、モネは絵画の制作に着手した後、これらの絵をまとめてジヴェルニーのアトリエに送り、制作を続行し完成後にサインしたものと考えられている。本作に描かれた光景の陽光と潮汐の状況から、太陽が崖の向こう側に沈む午後遅くの頃合いであることがわかる。描かれた時刻と海面の様子、そして断崖の先に足を伸ばしたような奇岩アヴァルの門の間にちょうどエギュ(針)岩がおさまって見える構図から推測して、おそらくモネは干潮の間の4時間程だけ現れる海岸沿いの陸地から岸壁を見て仕事をしたものと考えられる。これはエトルタで描かれた一連の作品の中でも極めて限られた条件の中で描かれた作例の一つであるといえよう。同じ場所から描かれたほぼ同じ構図の作品がもう一点知られている。
東京富士美術館 学芸員 鴨木年泰(かもぎとしやす)/「光の賛歌 印象派展」カタログ所収

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