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「光の賛歌 印象派展」出品作品紹介

アルフレッド・シスレー(1839-1899)
《モレの橋》
1893年 油彩/カンヴァス 73.5 × 92.0 cm
左下に署名、年記:Sisley. 93
オルセー美術館

モレの橋は、彼がこの町で描いた限定された主題のなかでも特に重要なものである。シスレーは、橋とそれに続く街並を、距離、角度を変え、また四季を通し描いている。本作では橋のたもとからさほど遠く無い位置からロワン川越しに町を描いている。他の同題の作品には見られる、橋から旧市街に入るブルゴーニュ門は、川の中州に作られた製粉場の建物にかくれてわずかにその屋根を見せるだけである。シスレー作品にしばしばみられるように、人間の姿は小さなシルエットで橋の上に浮かび上がるように表現されている。画面左手奥には1893年以降連作の主題となったモレの教会が見える。シスレーはこれらの絵画的要素を鮮やかな色彩を用いながら巧みな空間構成でまとめあげている。本作は雨上がりの朝に描かれている。空気は涼しく澄み、緩やかに流れる透明に澄んだロワン川は、朝日に照らされた石造りの建物や草木、雲と葦を美しく映している。
東京富士美術館 学芸課長 岡村健(おかむらけん)/「光の賛歌 印象派展」カタログ所収

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