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開館30周年記念日に寄せて(館長の談話)

当館は本日(11月3日)、1983年の開館より30周年を迎えることができました。30周年記念日にあたっての当館館長の談話を掲載いたします。

『私が初めて東京富士美術館を訪れたのは、開館まもない1983年11月のことでした。当時まだ美術館の職員ではなかった私は、一般の観覧者の一人として「近世フランス絵画展」を鑑賞しました。フランス近代絵画の至宝であるドラクロワの《ミソロンギの廃墟に立つギリシア》を見たときの震えるような感動は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。

それから2年後の1985年4月、私は縁あって東京富士美術館の学芸員として採用されました。それ以来、数々の展覧会を陰で支え、また企画・推進してまいりました。私にとって、美術館の展覧会の歴史は、そのまま私の体の一部であり、人生そのものです。

開館当時は収蔵品も少なく、展覧会の実績はゼロ。すべてが白紙からのスタートでした。この30年、創立者池田SGI会長の数々の励ましと「世界を語る美術館たれ」との指針を胸に、美術館の先輩職員たちは一点一点の美術作品を丹念に収集し、ひとつひとつの展覧会を誠実に実現してきました。そのプロフェッショナルな学芸員気質を受け継ぎ、いま第二世代の若い職員たちが活躍してくれています。

初代名誉館長を務められたアカデミー・フランセーズ会員のルネ・ユイグ氏は、かつて美術館の学芸員にこう語ったことがあります。「所蔵品に対しては常に深い敬意を払いなさい。時代の嗜好や一時的な流行に左右されてはいけません。作品が持つ本来の魂を引き出し、引き立たせてゆくのです」と。美術館の「基本のき」ともいうべきこの思考を基盤に、いま当館の常設展示室では、ルネサンスから現代までの西洋絵画の滔々たる流れを一望することができます。「光の賛歌 印象派展」では、その大河の流れのなかに、印象派の作品群を位置づけ、展示をしています。

優れた美術は人々の精神を解放し、人と人のこころを繋ぎます。世界を結ぶ文化の架け橋として、東京富士美術館はこれからも多彩な活動を続け、皆様に夢をお届けしていきたいと考えています。』
東京富士美術館 館長 五木田聡(ごきたあきら)

(写真:開館時の当館本館正面入口)

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