
本展は当館が所蔵する約1700点のナポレオン・コレクションから厳選した約40点の作品を常設展示室6・7・8の3室で展示しています。ナポレオンは数多くの戦争で勝利を収めましたが、当時の芸術家たちは時事的な題材としてナポレオンの戦争画を手がけました。今回はその一つをご紹介します。
タボル山の戦い
1812年
油彩、カンヴァス
115.0×200.5cm
1798年にエジプトを征服したナポレオンは更にシリアまで進軍し、タボル山(ナザレの南東約10km)の麓で再びオスマン=トルコ軍と開戦、勝利を収めました。戦争画である本作は画面に非常に多くの人物を配しながらも、細部に注意を払った画面構成となっています。すなわち、兵士の人数など戦いの情景を伝える記録的な描写だけではなく、画面左側前景にあたかもスポットライトを当てたように白馬に乗って指揮をとるナポレオンの姿を引き立たせていて、情景全体と細部の描写のバランスが戦いの情景にドラマチックな効果を生んでいるといえます。また、様々な姿態を見せる馬の描写が画面に躍動感を与えていて、馬の観察と研究を熱心に行った画家の腕の確かさがうかがえます。
新館・常設展示室6にて展示中!12月24日(月・振替休日)まで
展覧会情報は下記URLをご覧下さい。
http://www.fujibi.or.jp/exhibitions/profile-of-exhibitions.html?exhibit_id=4201209281