TFAM NEWS
♪レポート/伶以野(レイヤー)陽子 舞&トーク
3月5日(土)、「女流能楽師の伶以野(レイヤー)陽子さんによる舞&トーク『能の世界』」を開催しました。
上村松園が魅了された「能の世界」について、女流能楽師の伶以野(レイヤー)陽子さんに楽しくお話しいただくとともに、能の所作に関するレクチャーや実際の舞を披露していただきました。「花がたみ」「焰」「序の舞」など、能楽に着想した松園作品のモティーフとなった能の演目の舞台背景や舞の動きが表している意味など、事前に説明を受けてから、実際の舞を鑑賞し、松園作品の世界観がより深く理解できる充実したイベントとなりました。
「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(7)
上村淳之(1933-)《月汀》平成10年(1998) 松伯美術館蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
今まさに羽ばたこうと羽を広げるシギが描かれています。シギの足の映り込みや浮かぶ桜の花びらより、そこが水辺であることが分かります。青みがかった空間の中に桜の枝が垂れ、月が優しく照らす情景は、静けさの中にも生きる喜びといったメッセージが伝わってくるようです。シギは、淳之が好んで描いた鳥の一つで、唳禽荘には10種類以上のシギが飼われていました。淳之はシギがこれまで日本画であまり描かれてこなかった理由として飼育の難しさを挙げていますが、深井戸を掘り、水路を工夫するなどしてシギの繁殖に成功し、身近で見守ってきた淳之だからこそ、こうしたシギの純粋な美しさに表現し得たといえます。
各国大使一行が来館
オランダ、チュニジア、レバノンの各国大使ご夫妻、ジャマイカ大使、インド大使夫人をはじめ、インド、インドネシア、メキシコの各国外交官らご一行が来館され、上村松園・松篁・淳之三代展、山本作兵衛展、常設展示の西洋絵画コレクションをご鑑賞されました。
2022.03.05「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(6)
上村松篁(1902-2001)《万葉の春》昭和45年(1970) 近鉄グループホールディングス株式会社蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
昭和43年(1968)から1年間、上村松篁は、『サンデー毎日』で連載された井上靖による『額田女王』の挿絵を担当し、124枚の挿絵を手がけました。それをきっかけに、近鉄からの依頼により、奈良歴史教室を飾るための壁画として発注された作品です。万葉集の世界をいつか作品として表現したいとの思いがあり、描かれました。松篁は、本作の仕上がりについて母・松園の《花がたみ》と比較し、「私のはただ概念的に、既成の人物画の技法を知識として学んだ絵」と謙遜しているが、無駄のない輪郭線で描かれた的確な人物描写と温かみのある表情は、幅7m超という大画面にも引けを取らない迫力と清らかな気品を併せ持つ力作です。
「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(5)
上村松園(1875-1949)《わか葉》昭和15年(1940)頃 名都美術館蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
窓の外をぼんやり眺める一人の女性、先笄と呼ばれる比較的若い既婚女性に結われていた髪型をしています。髪にはカラフルな鹿の子をかけ、鼈甲の笄と櫛、鼈甲に珊瑚をあしらった簪で飾っています。水色(薄い青緑色)の鮮やかな着物も特徴的で、観る者を清々しい気持ちにさせます。女性の眼は、目頭の部分がやや写実的に描かれ、上瞼の微妙な膨らみによって、さらに彼女の心中を想像させられます。本作が出品された珊々会は高島屋が主催しており、松園は昭和12年(1937)の第3回展から出品。三越主催の春虹会と並んで大変好評だったそうです。松園は個人展などの大掛かりな展覧会で「作家の端的な気持ちが、すかっと出ているようなものを、あまり見かけないのはものたりません」(青眉抄p.289)と語っていますが、こうした百貨店主体の展覧会への出品のほうが、冒険的で、端的な志向を反映しやすい部分もあったのかもしれません。
※後期展示(3月1日〜3月13日)
♪レポート/徳山美奈子 ピアノ作品コンサート
2月20日(日)、「徳山美奈子 ピアノ作品コンサート~上村松園の絵に基づく『序の舞』『花がたみ(世界初演)』『焰(世界初演)』他」を開催しました。
作曲家でピアニストの徳山美奈子さんが本展に向けて上村三代の作品をイメージして作曲された「花がたみ」「樹䕃」「晨」「蛍」「焰」の新曲5曲を世界で初めて演奏されました。曲の合間には、徳山さんの上村三代作品に寄せる想いや自身がイメージしたことをどのように楽曲へ変えていくのかなども語っていただき、演奏あり、トークありの感動的なコンサートとなりました。
「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(4)
上村松園(1875-1949)《美人書見図》昭和14年(1939)頃 吉野石膏株式会社蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
光量が落ちてきたのでしょうか、本を片手に行灯の灯りを調整しています。緋色の鹿の子柄の着物に柳色の打掛を羽織っています。こうした赤系統の着物に青もしくは緑系統の色打掛という取り合わせは、昭和13年(1938)の《砧》(山種美術館蔵)以降によく見られます。打掛の表裏に補色に近い色を配色しているのも共通しています。ここでは遊女の間で流行り始めたという兵庫髷を結った女性が描かれています。
NHK Eテレ「日曜美術館」アートシーンで山本作兵衛展紹介
2月27日(日)のNHK Eテレ「日曜美術館」アートシーンの中で、東京富士美術館にて開催中の「山本作兵衛展」が紹介されます。
放映日時は、
2月27日(日)
午前9時45分~10時
午後8時45分~9時(再放送)
の二回となります。
※上記は、アートシーンの放映時間となります。
皆さま、お見逃しなく。
《入杭(母子)》1964-1967年頃(昭和39-42年頃)田川市石炭・歴史博物館
©︎Yamamoto Family
「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(3)
上村松園(1875-1949)《長夜》明治40年(1907) 福田美術館蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
二人の女性のうち、右の女性は地面に置かれた本を読みふけり、左の女性は行燈の火を整えています。こうした寝そべりながら本を読む女性の姿は、鳥居清長《美南見十二候 九月(漁火)》(千葉市美術館蔵)をはじめ浮世絵に複数描かれ、松園がそれらを昇華しリメイクしたものと考えられます。本作は、松園が明治40年(1907)から開催されることとなった文部省美術展覧会(通称、文展)の第1回展に出品し、3等賞を受賞した作品。32歳の彼女が女流画家としての地位を確実なものとした記念碑的作品といえます。
※前期展示(2月11日〜2月27日)
「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(2)
上村松園(1875-1949)《楊貴妃》大正11年(1922) 松伯美術館蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
4年ぶりに第4回帝国美術院展覧会(以下、帝展)へ出品した作品です。入浴を終え、給女に髪を整えてもらう泰然自若とした楊貴妃の姿が描かれています。紗でできた障子が手前に配されることで画面に変化が生まれ、前後の空間を意識させることにつながります。また本作に関する素描が2 点残っていますが、本画では、素描で描いた人物よりも眼が切れ長となり、円山四条派の先達たちの先行作品に寄っています。本作で松園は珍しく半裸の姿を描いているが、紗の衣と胸元の装飾が施されることにより、乳房は画面の中に溶け込み、卑俗さは避けられ、裸体画であるという感覚を薄めることに成功するとともに、画面全体に高貴な気品を与えています。












開館情報
■開館時間:
10:00~17:00
(16:30受付終了)
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〒192-0016
東京都八王子市谷野町492-1
■電話番号:
042-691-4511
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東京富士美術館
住所:〒192-0016
東京都八王子市谷野町492-1
TEL:042-691-4511
開館時間:10:00~17:00
(16:30受付終了)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は
開館。翌火曜日は振替休館)
JR八王子駅 北口
始発から12:29発までは西東京バス14番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
12:31発以降は、(ひよどり山トンネル経由)西東京バス12番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
(八日町経由)西東京バス11番のりばより)
・創価大学循環
いずれも「創価大正門東京富士美術館」で下車
京王八王子駅
西東京バス4番のりばより
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・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
JR拝島駅 ※1時間1本程度運行
*詳細についてはアクセスをご覧ください。
JR秋川駅 ※1時間1本程度運行
*詳細についてはアクセスをご覧ください。