天保14年(1843)/木版多色刷 大判錦絵三枚続
各36.3×24.5cm
江戸から近代へ─東京富士美術館浮世絵所蔵展
会期:2025年03月29日 (SAT)~2025年05月25日 (SUN)
創価美術館(台湾、高雄)
SUMMARY作品解説
海中で鰐を捕まえているのは、この絵の主人公で武勇に優れた鎌倉時代初期の武将、朝比奈三郎義秀。数々の伝説に彩られた人物として物語や歌舞伎にも度々登場する。のちに北条氏に反旗を翻した和田義盛の三男で、安房国朝夷郡(あさいぐん)(現在の千葉県南房総あたり)に生まれたのでその名がある。 ここに描かれているのは、鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』に登場する一場面。正治2年(1200)9月2日、源頼家(みなもとのよりいえ)は小壺(現在の神奈川県逗子市小坪)の海辺を遊覧した際に、いつものように御家人たちに武芸の披露を行わせた。その後、海上に船を浮かべて酒を振舞っていた時に、泳ぎの名人との評判が高かった義秀にその技を披露するように命じた。そこで義秀は見事な泳ぎを見せた挙句、海中に潜ると生きた鮫を3匹捕まえて浮上してきた。驚いた船上の人々は義秀を喝采で迎えた。 鮫はここでは鰐として表現されている。この鰐は、江戸時代後期の蘭学者、森島中良が著した『紅毛雑話』(天明7年(1787)刊行)に掲載されている「カイマン」の図をもとに描かれており、その後も同じく国芳の「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」(嘉永4年(1851))にも鰐鮫として登場する。
ARTIST作家解説
歌川国芳
Utagawa Kuniyoshi1797-1861
12歳の頃に描いた鍾馗図が初代歌川豊国の目に止まり、程なく豊国門に入る。20代は不遇の時を過ごすが、31歳の頃、《通俗水滸伝豪傑百八人之一個》を版行。これが人気を呼び、「武者絵の国芳」と称された。役者絵、美人画、風景画と何でもこなしたが、中でも3枚続のパノラマな構図の武者絵や歴史画、ウィットに富んだ戯画は大衆の心をつかんだ。親分肌な人柄から落合芳幾、月岡芳年、河鍋暁斎ら多くの優秀な門人を集めた。
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