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COLLECTION DETAILS収蔵品詳細

渓流 Rapids

昭和3年(1928)/木版多色刷

54.7×83.1cm

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教育 非商用 商用

SUMMARY作品解説

吉田博の作品には、海や池、湖、渓流といった水をモチーフに、光の反射や水の流れ、水面に映る風景などを繊細に描き出したものも多い。 この作品は、明治43年(1910)の第4回文展に出品した油彩画《渓流》(福岡市美術館蔵)をもとに、流れ落ちる水の動きに焦点を絞って画面を再構成したものである。本図の版木を彫るに当たり、複雑な水の流れの部分は博自身が1週間かけて彫ったといい、あまりにも根をつめたため、歯を痛めてしまったという。淡青の摺り重ねによって表現された水の透明感、鋭いノミの彫り跡によって描写された水流の勢い、線の一本一本までおろそかにせず彫り出された渦巻く波の力強さなど、ここには自然に対する博の畏敬の念が込められているようである。 本作は、当時の木版画では規格外の大きさを誇る特大版として制作されている。伝統的な木版画の摺りの工程では、版木や和紙を湿らせて色を摺り重ねるため、それぞれに伸び縮みが生じる。摺師は日頃の勘を頼りに版木と和紙の収縮率を計算しながら作業を行うが、特大版ともなると、全ての色をズレなく正確に合わせて摺ることが非常に困難となる。このような特大版の制作は画家、彫師、摺師にとって、挑戦的な仕事だったのである。

ARTIST作家解説

吉田博

Yoshida Hiroshi1876-1950

福岡に生まれる。初め京都の田村宗立に師事、後に上京し小山正太郎の不同舎に入門。明治美術会員となる。明治35年(1902)、太平洋画会を設立。第1回文展で3等賞を受賞。文部省買上げとなる。以後、官展に出品を重ね、審査員も務める。大正9年(1920)、最初の木版画を出版。国内、欧米、アジア各国へ写生旅行に出かけ、版画作品に残す。晩年、日本山岳画協会を結成。国内外の山岳風景を多く描いた。

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