SUMMARY作品解説
昭和13年(1938)と同14年(1939)、吉田博は陸軍省嘱託の従軍画家として中国に派遣され、中国各地を訪れてスケッチを残した。その成果として、《河口》《盧山》《小姑山》《星子》《石鐘山》《蘇州》の5点の中国風景を発表している。 本図に描かれた小姑山は、中国安徽省安慶市宿松県の南東60キロ、長江河畔にそびえる小さな山で、川の中に孤独に立っている様子から「小孤山」とも呼ばれる。長江の中に突き出した独特な景観は長江第一の絶景として知られ、古来より多くの詩人に歌われ、また歴史の舞台ともなってきた。 ここでは、長江の雄大な流れに抗うように佇む巨大な山が、濁った川面をゆく帆船を悠然と見下ろしているようである。
ARTIST作家解説
吉田博
Yoshida Hiroshi1876-1950
福岡に生まれる。初め京都の田村宗立に師事、後に上京し小山正太郎の不同舎に入門。明治美術会員となる。明治35年(1902)、太平洋画会を設立。第1回文展で3等賞を受賞。文部省買上げとなる。以後、官展に出品を重ね、審査員も務める。大正9年(1920)、最初の木版画を出版。国内、欧米、アジア各国へ写生旅行に出かけ、版画作品に残す。晩年、日本山岳画協会を結成。国内外の山岳風景を多く描いた。
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