武蔵 江戸時代前期(17世紀)/鉄、鍛造
刃長70.1cm、反り0.8cm
SUMMARY作品解説
本作は、反(そ)り浅く、鋒(きっさき)が詰(つ)まり、鎬幅(しのぎはば)広く鋭い感じがする姿。地鉄(じがね)は小板目(こいため)がよく詰み美しく、刃文は、湾(のた)れて刃縁(はべり)に小沸(こにえ)が微塵(みじん)につき明るく冴えるなど、まさに虎徹の典型作である。なお、虎徹の刀には、本刀のように幕府の試役(ためしやく)を勤めた山野加右衛門永久・勘十郎久英親子の裁断(せつだん)金象嵌(ぞうがん)銘を入れたものが多数あるのも特徴である。一般に三ツ胴(みつどう)以上の截断銘は少なく、四ツ胴截断銘の入る本作は、虎徹の作のなかで最も切れた記録を残すもののひとつ。
ARTIST作家解説
長曽祢興里(虎徹)
Nagasone Okisato (Kotetsu)
長曽祢虎徹は、名は興里、法号は虎(乕)徹といい、もとは近江国長曽祢村の甲冑師で、のちに越前国福井に出てその半生を送り、明暦の始め頃、50歳前後で刀匠に転じ江戸に移り、のちに下谷に住した。その師は上総介兼重ともいわれ、斬新な作風と巧みな彫物、並びに切味のよいことでたちまち一世を風靡した。作風は、反りが浅くいわゆる棒反(ぼうぞ)りで、地肌(じはだ)は実によく詰(つ)み美しく、刃文は覇気に満ちた大湾(おおのた)れか、数珠刃(じゅずば)といわれる丸い互(ぐ)の目(め)の連なった刃文を最も得意とし、焼刃(やきば)には見事な沸(にえ)が一面につき明るく冴えるのがこの刀工の特徴である。
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