寛政6年(1794)/紙本墨画 軸装
111.8×30.7 cm
SUMMARY作品解説
雄鶏の奥から雌鶏が顔を出し、手前に描かれた雛を見守っている。雄鶏の姿は鶏冠や肉髥から羽、尾、脚にいたるまで濃密に描かれているのに比べ、雌鶏と雛が単純化されているため、見逃してしまいそうな構図である。雄鶏の背中の羽の部分にはわずかではあるが、墨の滲みの効果を利用した若冲特有のいわゆる「筋目描き」の描写も見られる。左端に記された落款には「米斗翁行年七十九歳画」とあり、若冲が天明8年(1788)の天明の大火後に石峰寺(現在の京都市伏見区深草)の門前に構えた庵で制作していた時期でもある寛政6年(1794)の作と分かる。
ARTIST作家解説
伊藤若冲
Ito Jakuchu1716-1800
京の高倉錦小路の青物問屋の長男に生まれる。名は汝鈞。字は景和。斗米庵、米斗翁とも号した。絵画と禅に傾倒し「若冲」の居士(在家の仏道修行者)号を得たのち、40歳で家業を弟に譲り画業に専念した。最初、狩野派を学び、のちに京都の古寺に伝わる宋、元、明の中国画を模写し、当時流行した沈南蘋の細密な花鳥画や黄檗宗関係の水墨画などの影響を受け、写実と想像を巧みに融合させた画風を完成させた。85歳で没。
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INFORMATION作品情報

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