1905年、パリ(1869年初版)/エッチング
SUMMARY作品解説
本作のような猫の複数の姿態を並べて配置する構図は、北斎漫画をはじめとした浮世絵の影響が大きいものと考えられる。マネの作品には《オランピア》(オルセー美術館蔵)を筆頭に構図に猫が配されるケースがしばしば見られるとともに、友人シャンフルーリの著作『猫』のための挿絵やポスターも手がけるなど、猫にまつわる多くの作品が存在し、彼の特別な愛情を感じる。本作の左側の毛繕いをするような仕草で丸まる黒猫は、すでに1868年に制作された《昼食(アトリエにて)》(ノイエ・ピナコテーク蔵)の中に登場しているが、マネはこの黒猫を描くために16点に及ぶ習作を手がけたという。
ARTIST作家解説
エドゥアール・マネ
Édouard Manet1832-1883
パリ生まれ。トマ・クチュールの画塾で学ぶ。ディエゴ・ベラスケス、フランシスコ・デ・ゴヤなどのスペイン絵画のもつ強烈な明暗法や表現力に感化され、新しい表現方法を試みた。1863年のサロンに落選した《草上の昼食》(オルセー美術館蔵)が、いわゆる落選展に出品され、スキャンダルとなり、2年後のサロンに入選した《オランピア》(同館蔵)とともに激しい非難を浴びた。「カフェ・ゲルボワ」での集いを中心にクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールとも交友し、印象派の生みの親と言われる。彼の芸術の本領は人物画にあり、近代生活を新鮮な感覚と明快なタッチで描出するのが得意であった。
同じ作家の作品一覧
INFORMATION作品情報

EXPLORE作品をもっと楽しむ

全国の美術館・博物館・アーカイブ機関を横断したプラットフォームでコンテンツを検索・閲覧でき、マイギャラリー(オンライン展覧会)の作成などができます。