1905年、パリ/エッチング
SUMMARY作品解説
マネにとって海景画は、主要画題の一つともとなっている。本作は、1864年に描かれた《ブーローニュ沖に停泊するキアサージ号》(メトロポリタン美術館蔵)と68年の《蒸気船、イルカのいる海景》(フィラデルフィア美術館蔵)の双方の油彩画のイメージを組み合わせて構想されたと考えられる。その証拠に、左側の船は前者に描かれた船を反転させたシルエットをしており、中央下に顔を出したイルカは、後者のイルカのイメージを重ねていると見られる。海面の反射による微妙な色の階調も、タッチの密度に変化をつけ、見事に表現しており、マネの光に対する繊細な意識を垣間見ることができる。
ARTIST作家解説
エドゥアール・マネ
Édouard Manet1832-1883
パリ生まれ。トマ・クチュールの画塾で学ぶ。ディエゴ・ベラスケス、フランシスコ・デ・ゴヤなどのスペイン絵画のもつ強烈な明暗法や表現力に感化され、新しい表現方法を試みた。1863年のサロンに落選した《草上の昼食》(オルセー美術館蔵)が、いわゆる落選展に出品され、スキャンダルとなり、2年後のサロンに入選した《オランピア》(同館蔵)とともに激しい非難を浴びた。「カフェ・ゲルボワ」での集いを中心にクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールとも交友し、印象派の生みの親と言われる。彼の芸術の本領は人物画にあり、近代生活を新鮮な感覚と明快なタッチで描出するのが得意であった。
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