1905年、パリ/エッチング
SUMMARY作品解説
本作は、マネが画家アルベール・ド・バルロワと共同で初めて構えたアトリエで1858年から59年にかけて助手をしていたアレクサンドルという少年を描いた水彩画に由来している。アレクサンドルはマネの初期の油彩画《サクランボを持つ少年》(グルベンキアン美術館蔵)のモデルにもなったが、60年に彼はマネのアトリエで自らの命を絶ってしまう。詩人であり批評家であったシャルル・ボードレールはこの衝撃的な出来事を散文詩「紐」に託してマネに送った。細かなタッチをきかせ、丁寧に仕上げられた本作は、友人への返辞、彼への追悼の想いも込めて手がけられたのかもしれない。
ARTIST作家解説
エドゥアール・マネ
Édouard Manet1832-1883
パリ生まれ。トマ・クチュールの画塾で学ぶ。ディエゴ・ベラスケス、フランシスコ・デ・ゴヤなどのスペイン絵画のもつ強烈な明暗法や表現力に感化され、新しい表現方法を試みた。1863年のサロンに落選した《草上の昼食》(オルセー美術館蔵)が、いわゆる落選展に出品され、スキャンダルとなり、2年後のサロンに入選した《オランピア》(同館蔵)とともに激しい非難を浴びた。「カフェ・ゲルボワ」での集いを中心にクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールとも交友し、印象派の生みの親と言われる。彼の芸術の本領は人物画にあり、近代生活を新鮮な感覚と明快なタッチで描出するのが得意であった。
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