1905年、パリ(1860年初版)/エッチング
SUMMARY作品解説
本作は1861年、初めてサロンに入選した《スペインの歌手》(メトロポリタン美術館蔵)に由来している。当時の批評家テオフィール・ゴーチェは同作を称賛し、「ギタレロ」と名付けた。本作は原作に比べ左右が反転しているものの、細かなタッチで男性の顔や衣装をはじめ画面全体に丁寧に陰影をつけ、原作の雰囲気を忠実に再現することに成功している。マネは1850年から6年間、トマ・クチュールの画塾へ通い、59年のサロンに初めて《アブサンを飲む男》(ニイ・カールスベルグ美術館蔵)を送ったが、あえなく落選した。ここでは修行時代、ディエゴ・ベラスケスらのスペイン画家から受けた影響を如実に感じさせる。
ARTIST作家解説
エドゥアール・マネ
Édouard Manet1832-1883
パリ生まれ。トマ・クチュールの画塾で学ぶ。ディエゴ・ベラスケス、フランシスコ・デ・ゴヤなどのスペイン絵画のもつ強烈な明暗法や表現力に感化され、新しい表現方法を試みた。1863年のサロンに落選した《草上の昼食》(オルセー美術館蔵)が、いわゆる落選展に出品され、スキャンダルとなり、2年後のサロンに入選した《オランピア》(同館蔵)とともに激しい非難を浴びた。「カフェ・ゲルボワ」での集いを中心にクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールとも交友し、印象派の生みの親と言われる。彼の芸術の本領は人物画にあり、近代生活を新鮮な感覚と明快なタッチで描出するのが得意であった。
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INFORMATION作品情報

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