室町時代(15-16世紀)/紙本墨書 軸装
31.2×46.6cm
SUMMARY作品解説
後柏原天皇の筆による『和漢朗詠集』の書写。後柏原天皇は後土御門天皇を父とし、その死去を受けて即位した。在位は1500年〜1526年。土御門天皇と同様、応仁の戦乱で衰退した朝儀(ちょうぎ)の再興に尽力する一方、詩歌や管弦などにも長け、歌集『柏玉集(はくぎょくしゅう)』をまとめている。 写されているのは『和漢朗詠集』巻下、慶賀に収められている橘正通(たちばなのまさみち)の漢詩と、作者未詳の和歌である。まず漢詩は「君と私は、花月などを愛でながら交流を深めてきた。しかし、今君は高貴な身分の人となり、微官に留まっている私とは天地ほども離れてしまい、目に届かなくなってしまった」と訳せ、旧友への今昔の感を読み取ることができる。 続く和歌は、「昔は嬉しさを袖に包んだというが、今宵の私の嬉しさは袖に包むどころか、身にも余ってしまうほどである」と訳せる。『和漢朗詠集』では、この歌に作者名は付されていないが、『撰集抄(せんじゅうしょう)』では、藤原斉信(ただのぶ)より先に昇進した藤原公任(きんとう)の喜びを表した歌として出ている。しかし『公任集』(自撰和歌集)では見ることができない。 [解読文]「花月一窓 交昔眤 雲泥万里 眼今窮」「うれしさをむかし は袖につゝみけり こよひは身にも 余りぬるかな」 [書き下し文・現代表記]「花月一窓(かげついっそう)交(まじわ)り昔眤(むつま)じかりき 雲泥万里(うんでいばんり)眼(まなこ)今窮(きわ)まりぬ」「うれしさを むかしは袖に つつみけり こよいは身にも 余りぬるかな」
ARTIST作家解説
後柏原天皇
Emperor Go-kashiwabara1464-1526
第104代天皇(在位1500-26)。後土御門天皇の第1皇子。応仁の乱の影響で天皇の位について22年後に即位式を行った戦国時代の天皇。和歌集『柏玉集』を出すなど詩歌に優れ、書も堪能でその書は後柏原院流と呼ばれた。
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INFORMATION作品情報

1995年3月15日 (水)~5月12日 (金)
日本美術の名宝展 米州開発銀行文化センター(アメリカ、ワシントン)
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