大正15年(1926)/木版多色刷
25.1×37.2cm
SUMMARY作品解説
吉田博の代表的なシリーズ版画に「冨士拾景」があるが、このシリーズ版画は、大正15年(1926)に3点、昭和3年(1928)に7点が制作されて完結している。本作品は、前者の3点のうちの一つ。他の作品には、《河口湖》《朝日》(大正15年)、《船津》《御来光》《馬返し》《山頂劔ヶ峯》《秋》《興津》《むさしの》(昭和3年)がある。 「冨士拾景」において博は、四季を通じて時々刻々と変化する富士の姿を、洋風の写実表現と独自に習得した“自摺”の精巧な技法を用いて色彩豊かに表現した。本図では、白雪を頂く富士が、圧倒的な存在感で画面全体を満たしている。 本作が制作された大正15年(1926)は、「冨士拾景」シリーズの他にも、「日本アルプス十二題」の全12点、「瀬戸内海集」のうちの8点、「東京拾二題」のうちの5点をはじめ、合計41点もの木版画が発表され、博の木版画制作において最も多くの作品が生み出された年となった。
ARTIST作家解説
吉田博
Yoshida Hiroshi1876-1950
福岡に生まれる。初め京都の田村宗立に師事、後に上京し小山正太郎の不同舎に入門。明治美術会員となる。明治35年(1902)、太平洋画会を設立。第1回文展で3等賞を受賞。文部省買上げとなる。以後、官展に出品を重ね、審査員も務める。大正9年(1920)、最初の木版画を出版。国内、欧米、アジア各国へ写生旅行に出かけ、版画作品に残す。晩年、日本山岳画協会を結成。国内外の山岳風景を多く描いた。
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