19世紀/油彩、カンヴァス
92.7×73.7cm
SUMMARY作品解説
マリー=アントワネットの母、マリア・テレジアは、ハプスブルグ家の当主として40年にわたりオーストリア・ハンガリーに君臨した女帝。彼女の第15子として、1755年11月2日誕生し、マリア・アントニア・ヨゼファと名付けられたが、のちにフランス風にマリー=アントワネットと変えた。マリア・テレジアは、その生涯で16人の子を産んだ愛情深い母親だったが、中でも、末娘のマリー=アントワネットを一番可愛がっていたと言われている。そしてこの末娘のために、ヨーロッパで最も美しく強大な王国の王妃の座を確保するために、フランス王太子ルイ・オーギュスト(のちのルイ16世)と結婚させた。しかし、彼女の幸福は長くは続かず、フランス革命の勃発により国王や家族とともに幽閉され、1793年10月16日、コンコルド広場において、38歳の悲運の生涯を閉じることとなる。マリー=アントワネットの宮廷画家として彼女の肖像画を多数手がけていたヴィジェ=ルブランは、王妃の歿後も幾度かその肖像画を描くように依頼を受けている。本作について、ヴィジェ=ルブランの研究者ジョゼフ・バイヨーは、ヴィジェ=ルブランの原作をもとに、ヴィジェ・ルブランの夫の姪であったウジェニー・トリピエ・ル・フラン(1797-1872)が模写したものと推測している。本作の原作とされる作品は、マントと赤いビロードの縁なし帽を被り、黒真珠の見事な首飾りを身につけた王妃の半身像で、1820年代に制作されたとされ、ヴィジェ=ルブランは亡くなるまでその作品を手放さずに手元に置いていたという。
ARTIST作家解説
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの作品による
After Elisabeth-Louise Vigée-Le Brun1755-1842
18世紀最も名をなした女流画家。フランス王妃マリー=アントワネットに気に入られ、王妃付きの画家としてヴェルサイユ宮殿に迎えられた。フランス革命が起こると余波を逃れ、ポーランドやロシアなど、ヨーロッパ各国を遍歴し各地の宮廷で歓迎され、肖像画制作を行った。師ジャン=バティスト・グルーズの描く感傷的な女性像から大きな影響を受け、美しさと愛らしさに満ちた肖像画を数多く描いた。フランスのロココ趣味がヨーロッパ各国に広まったのは、彼女の絵によるところが大きい。
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INFORMATION作品情報

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