SUMMARY作品解説
ミレーの室内を描いた油彩画は独特のほの暗さをもっているが、その暗さがコントラストを強くしてこの版画に再現されている。うなだれるように作業をする農婦はたくましく肉付けされ、単調な手仕事をこなしながらも強く生きる様子を伝えている。後年、ミレーはこの構図をもとに油絵を制作したが(1863年サロン出品)そこでの農婦は楽しげに作業に熱中しており、エッチングの農婦の疲れた表情と対照的で興味深い。
ARTIST作家解説
ジャン=フランソワ・ミレー
Jean-François Millet1814-1875
ノルマンディに生まれる。1837年パリに出てポール・ドラローシュに師事。1844年からサロンに農民画を出品。1849年バルビゾンに移住し、農民の生活に抒情的な理想を託した作品を描いた。代表作には《種をまく人》(ボストン美術館蔵)や《晩鐘》(オルセー美術館蔵)がある。温和な構図と画風はジャン=シメオン・シャルダンなどフランス写実絵画の伝統に連なり、下層民衆に尊厳さを見い出して描く精神性はクールベなど同時代の写実主義の特徴でもある。銅版画、素描、パステルの各分野にも優れた才能を発揮した。
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INFORMATION作品情報

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