明後期(17世紀)/
高9.4cm、径7.5cm、底径6.5cm
SUMMARY作品解説
胴部中央がやや張る香炉。受口状の口縁部には、落とし蓋(火屋)が伴う。蓋には獅子の摘みが付き、獅子の口・鼻および蓋上部の2箇所に孔が穿たれている。蓋には花文が配され、胴部に輿に乗る人物図が絵画的に描かれている。口縁部に釉剥げがみられ、器壁は厚い。この作品のような特徴を持つ一群の五彩は、わが国では「天啓赤絵」と呼ばれている。木箱蓋表に、「南京赤繪/香爐」の墨書。
ARTIST作家解説
景徳鎮窯
Jing-de-zhen Ware
五代時代から今も続く窯。窯跡は、江西省景徳鎮市一帯に分布。五代時代には、青磁・白磁が作られ、長江以南で発見されている最古の白磁窯。北宋時代には、いわゆる青白磁を完成させる。元時代には白磁が主流となる。元時代後期には青花磁器を生み出し、以後中国を代表する窯業地に発展。明時代には「御器廠」と呼ばれる官窯が置かれ、青花磁器とともに本格的な五彩磁器も作られるようになる。清時代には、粉彩磁器が開発された。なお、明時代後期から清時代前期には、民窯で青花磁器(芙蓉手・古染付・祥瑞)、五彩磁器(天啓赤絵・色絵祥瑞)など多種多様な磁器が生産され、ヨーロッパをはじめ各地に輸出された。