明前期(14世紀)/
高24.5cm、口径4.2cm、胴径13.5cm、底径7.8cm
SUMMARY作品解説
白化粧を施した後、鉄絵で文様を3段に描いている。上段には菊唐草文を、中段には牡丹唐草文を施し、下段には唐草文を回す。透明釉を掛けて焼成した後、さらに翡翠釉を施し、青く澄んだ美しい器に仕上げている。翡翠釉は、中国でトルコ青釉を指す語で、孔雀釉ともいう。この釉は一種の低火度の釉で、西アジアで早くから発達した釉薬である。中国でこれが現れるのは、元時代のこととされ、モンゴルの西方進出によって、中国に伝わったものとされる。
ARTIST作家解説
磁州窯
Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。