金(12世紀)/
高11.4cm、幅31.5cm、奥行22.4cm
SUMMARY作品解説
半月形のこの枕は、上下をそれぞれ型で成形し、接合している。白化粧を施した後、櫛描きで枠をとり、2輪の牡丹唐草文を線刻し、地の部分の白化粧を掻き落としている。その上に緑釉をかけ焼成すると、白化粧が残ったところは、緑色に発色するが、削られた素地の部分は黒色に発色する。陶枕は、唐時代より知られ、実用品として広く使用された。なかでも磁州窯では、さまざまな種類の陶枕が生産されている。底裏には墨書が残るが判然としない。
ARTIST作家解説
磁州窯系
A Type of Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。