金(12-13世紀)/
高16.5cm、胴径16.1cm、底径7.8cm
SUMMARY作品解説
丸い腰部をもった深鉢で大変薄作りである。甲盛りのある小さな摘みの付く蓋を伴う。表面は、やや厚めの黒釉を掛け、その上に加えられた柿色の鉄斑も流れているようにみえる。これは、黒釉銹花といわれる技法で、素地に鉄釉を掛けた後、さらに鉄分の多い顔料で文様をつけ焼成する技法である。この作品のように、華北一帯で焼かれた黒釉の陶磁器は、俗に「河南天目」と呼ばれている。
ARTIST作家解説
磁州窯系
A Type of Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。