金(13世紀)/
高5.6cm、口径15.6cm、底径5.4cm
SUMMARY作品解説
白い化粧土の上に透明釉を掛け、三重の圏線のなかに、見込みいっぱいに牡丹文を描く。牡丹は、輪郭線を描かずに、大きく開いた花弁がそのまま簡略した表現で描かれ、緑色で葉や花芯を添えている。見込みには3個の目跡があり、高台にも目跡がみられることから、重ね焼きによる量産品であることがわかる。碗や皿などの小物が多いこともこの種の作品の特徴である。高台内に「仙興」、高台脇に「陳仙興記此□□」の墨書がある。
ARTIST作家解説
磁州窯系
A Type of Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。