元(14世紀)/
高34.2cm、口径12.9cm、胴径35.6cm、底径13.9cm
SUMMARY作品解説
平底で丸い胴部をもち、短い頸が直立する壺である。肩部と胴部に文様が区画され、肩部には菊唐草文が、胴部には菱形の窓に鳳凰文が描かれている。窓の外は花文と波文がそれぞれ鉄絵で描かれ、鳳凰文と雲文は鉄絵を下敷きに線刻によって表現されている。空間を埋め尽くすような文様配置や、大まかな鉄絵の上に線刻で文様を表現するのは、元時代の作風とされる。内側には黒釉が掛かり、底に重ね焼きの痕跡が残っている。篠山城二の丸跡から類品が出土している。
ARTIST作家解説
磁州窯
Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。