北宋(11-12世紀)/
高14.7cm、口径14.1cm、胴径16.8cm、底径7.3cm
SUMMARY作品解説
内にかかえこむ口造りで胴部がふっくらと丸く、高台が付く深鉢である。裾を残して、白化粧の後、胴部中央には、上下2条の線文の間に、線刻で七宝繋(しっぽうつなぎ)文を巡らせ、地の部分に櫛描きを施すことで、文様を浮き立たせている。この深鉢は、磁州窯に特徴的な形であり、線刻を施したもの以外にも白地鉄絵の作例がよく知られている。白化粧と胎土の灰色が、柔和で優しい印象を残す。胴部下半に墨書が残っているが判然としない。
ARTIST作家解説
磁州窯系
A Type of Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。