1906年頃/パステル、カンヴァス
83.8×67.0cm
SUMMARY作品解説
モレル・ダルルー伯爵夫人はカサットの友人で、本作はその息子が2歳の時の作品である。息子は女児用を思わせるスカート状の上等なレースのドレスに身を包んでいる。大きな宝石があしらわれた指輪をつけた母親に抱きかかえられたこの男児は、裕福な家庭の中で愛情をもって育てられていることが窺える。このように親しい人々をモデルにした母子像は、カサットの最も得意とするテーマであり、女性らしい平和で温かな視点を見ることができる。パステルの特徴を生かした明るい色調と柔らかな肌の仕上がりは、エドガー・ドガから学んだ彼女の確かな技量を感じさせる。
ARTIST作家解説
メアリー・カサット
Mary Cassatt1844-1926
アメリカの女流画家。ペンシルヴァニアの裕福な家庭に生まれ、ペンシルヴァニア美術アカデミーで絵を学んだ後、パリに赴くが、普仏戦争の影響などでアメリカとフランスを行き来する。1877年、エドガー・ドガに出会い、彼の勧めで第4回の印象派展から4度にわたり出品した。コレッジョやジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルを学ぶことによって優れた素描の才能を開花させた。また、日本の浮世絵の影響を受け、版画の制作も手がけた。日常生活を叙情的に描写した作品が多く、特に母と子をモチーフにした明朗で平和的な作品を好んで描いた。1926年、フランス北部のメニル=テリビュで没した。
同じ作家の作品一覧
INFORMATION作品情報

2016年9月27日 (火)~12月4日 (日)
メアリー・カサット展 京都国立近代美術館(京都、京都市)
2016年6月25日 (土)~9月11日 (日)
メアリー・カサット展 横浜美術館(神奈川、横浜市)
1992年10月16日 (金)~11月5日 (木)
西洋絵画名作展—ルネサンスから印象派、20世紀の絵画 中国美術館(中国、北京)
Provenance: Commissioned by the sitter, Countess Morel d’Arleux, who was a friend of the artist, when her son was two years old, Parias 1906 By family descent to the Countess’son, where it has remained until the present Hammer Galleries, New York Exhibited: Paris, Galerie Durand-Ruel, 1908, no.26 Paris, Centre Cultural American, 1959-60, no.11
Literature: Achille Segard, Un peintre des enfants et des méres – Mary Cassatt, Paris, Librarie Ollendorf, 1913, fol.p.136 Adelyne Dohme Breeskin, Mary Casatt, A Catalogue Raisonné of the Oils, Pastels, Watercolors and Drawings, Smithonian Institution Press, Washington, 1970, no.479, p.182; Recorded as “Portrait of a Frenchwoman and Her Son”