1728年/油彩、カンヴァス
133.0×94.0cm
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで
会期:2025年04月12日 (SAT)~2025年06月22日 (SUN)
東京富士美術館:新館・常設展示室2
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで
会期:2025年07月12日 (SAT)~2025年09月15日 (MON)
東京富士美術館:新館・常設展示室2
SUMMARY作品解説
上部がアーチ状の特殊な形状をしたカンヴァスに描かれた本作は、発注主が飾ろうとした建物の壁面の形を物語っている。《夏》とのタイトルから、本作が四季を描いた連作のうちの1点ということが容易に想像されるが、他の作品の存在は明らかでない。描かれた人物のうち三人の女性は、そのうちの一人が大きな花籠を持っていることから三美神(タレイア、エウプロシュネ、アグライアとされ、それぞれ「花」「喜び」「優美」を表している)であると想像される。また右側の男性は先端に松かさがつけられた特殊な杖テュルソスを手にしていることから、バッカスの従者のサテュロスとみられる。三美神、サテュロスともに自然の豊穣な実りの化身である。また、三美神のうちの右側の女神の足元に置かれた小麦の穂束、中央の女神が手にする籠からあふれ出るように描かれた林檎や葡萄、西瓜などの果物や野菜が、収穫期である夏の季節を象徴している。ウィトはこのような寓意的な主題の神話画を数多く手がけた画家であり、本作はその典型例ともいえよう。眉間をやや広めにとった顔立ちも彼の女性描写の特徴を端的に示している。中央の女神の足元に「D.WIT.J 1728」との署名と年記も見られる。
ARTIST作家解説
ヤコプ・デ・ウィト
Jakob de Wit1695-1754
アムステルダムに生まれる。14歳の頃からアルバート・ヴァン・スパイアーズの元で絵画を習い、1712年にはアントワープに渡って、ロイヤル・アカデミーでジェイコブ・ヴァン・ハルに学んだ。同地ではペーテル・パウル・ルーベンスとアンソニー・ヴァン・ダイクの作品からも影響を受けた。1713年から翌年にかけて聖ルカ組合の親方資格を取得し、1715年にはアムステルダムに定住し、拠点とした。彼はルーベンスが制作した36区画で構成されるアントワープのイエスズ教会の装飾に関する素描も所有しており、これらの素描は後年、版画化もされた。ウィトは天井画をはじめ、教会や住居を彩るための歴史画や寓話的な装飾画を得意としていた。またグリザイユ画法で描いた「遊ぶ子供たち」の群像でも人気を博した。代表作には《70人の長老を選出するモーゼ》(アムステルダム王宮蔵)などがある。
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INFORMATION作品情報

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