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COLLECTION DETAILS収蔵品詳細

アフロディーテ Aphrodite

1909年/[出版]A. フェルー

27.0×20.5×3.5cm

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教育 非商用 商用

SUMMARY作品解説

本作「アフロディーテ」の著者のピエール・ルイスは、ベルギー生まれのフランス象徴主義の詩人、小説家で、古代ギリシアに関する豊富な知識をもとに官能的な文体でヘレニズム世界を描いたことで知られており、本作が彼の出世作となった。音楽家のドビュッシーとも親交があった。ピエールの曽祖父のルイス男爵は第一帝政と王政復古期に財務を担当していた。彼の曽祖母はナポレオンに従軍したアブランテス公ジュノーの親族であった。 挿絵を担当したラファエル・コランは、本作の他に2点の書物の挿絵を手がけている。古代ギリシアの作家ロンゴスによる「ダフニスとクロエ」、そして本作の著者であるピエール・ルイスによる「ビリティスの歌」である。 本作「アフロディーテ」は、エジプト文明とギリシア文化が融合した大都市である、紀元前1世紀のアレクサンドリアを舞台としている。彫刻家デメトリオスが高級娼婦クリュシスに心を奪われ、結ばれる条件として彼女から唆されたことで罪を犯すものの、夢の中でクリュシスと結ばれ快楽に耽ることができたデメトリオスは現実のクリュシスを拒み、彼女を死に導き、その身体を彫刻にすることで永遠の理想美を創造したという物語である。コランによる43枚の挿絵では、物語の露骨な暴力的な描写や欲望の解放といった表現が抑制されており、その画面は穏やかな光に包まれた古代ギリシアの光景を想起させる。 挿絵の構図は新古典主義的な静謐さを持って描かれており、人物の配置の仕方にもそれが顕著に表れている。一方、色彩においてはナビ派を彷彿とさせる鮮やかな色が用いられているものもあり、コランは自身の芸術の方向性を確認し、それを刷新するかのように、挿絵である本作においても古典美術と新たな美術様式との折衷を試みている。

ARTIST作家解説

ピエール・ルイス著 ラファエル・コラン挿絵 エルネスト・フロリアン版刻

Author: Pierre Louÿs (1870-1925), illustrations: Raphaël Collin (1850-1916), wood engravings: Ernest Florian (1863-1914)

ラファエル・コラン(1850-1916) パリ出身。1860年代後半にウィリアム・ブーグロー(1825-1905)のアトリエに入り本格的に絵画の修業を始め、1868年にはエコール・デ・ボザールに入学し、アレクサンドル・カバネル(1823-1889)の指導を受ける。初期の頃は歴史画、宗教画、寓話画をテーマにした古典的な画風であったが、やがて古典美術を基盤にしながらも、印象派的な外光描写、ナビ派、象徴主義などの要素を採り入れ、明るい色彩を用いて柔らかな筆致で描くようになる。 コランは古美術の熱心な蒐集家で、特に彼のアジア陶器のコレクションはジャポニスムへの関心を表している。また、彼はフランス留学中の黒田清輝や久米桂一郎、岡田三郎助などを指導し、明治後期の日本洋画界の進展に大きく貢献した。パリで活躍した日本人画商の林忠正とも親交があった。

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