江戸時代前期(17世紀)/紙本着色 屏風装(六曲一双)
165.5×367.0cm(各)
SUMMARY作品解説
江戸時代に入り、桃山時代の豪奢で勇壮な狩野派様式を、瀟洒端麗な様式へと革新したのは狩野探幽であった。探幽は新たにやまと絵の技法も取り入れ、「景物画」と呼ばれる日本の名所における四季や風俗を主題とした新しい絵画の領域を開拓した。本作で描かれる吉野山の桜、龍田川の紅葉は、春秋の季節を代表する景物として和歌にも詠まれ、古来より親しまれてきた伝統的画題の一つである。画面全体の切箔と砂子を用いた金雲や霞の表現、流麗な流水の描写、桜花の春と紅葉の秋との対比が美しい。ここでは狩野派特有の樹木や岩の豪快な描写をおさえ、やまと絵風の花木や山々の大らかで精緻な画風を引き立たせることで、自然の心地よい風情を引き出すことに成功している。
ARTIST作家解説
狩野派
Kano School
日本絵画史上最大の漢画系画派。室町後期から明治初期の約400年にわたって存続し、絵画史のなかで大きな役割を果たした。創始者は、室町幕府の御用絵師、狩野正信。その後、狩野元信、狩野永徳ら優れた絵師を輩出し画壇の覇権を握る。江戸時代には、狩野探幽をはじめとする江戸狩野が形成され、代々幕府の御用絵師としての地位を保証されるに至った。
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INFORMATION作品情報

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