文化9年(1812)/紙本墨画 軸装
94.0×157.7cm
SUMMARY作品解説
本作は古くから知られる傑作《水墨山水図屏風》を彷彿とさせる大幅で、脇書きに「壬申秋日」とあり、同作の描かれた文化9年(1812)9月前後に制作されたことを物語る。まず遠景にそびえる墨色豊かな山の量塊が胸に迫ってくる。続いて中景の漂う雲、近景の森に目をやると、細い山道に山中の人家を目指す村人が見えてくる。文晁の盛期とされる寛政期から晩年へと向かう時期にあたるが、彼の極まりつつある墨画表現の粋を味わえる秀品といえよう。
ARTIST作家解説
谷文晁
Tani Buncho1763-1840
江戸に生まれる。名、字ともに文晁。はじめ加藤文麗、後に渡辺玄対に師事。「八宗兼学」の理念のもと、中国画や洋風画、土佐派、琳派、円山四条派など広く学ぶ。天明8年に仕官。後に老中松平定信の近習となり、《公余探勝図巻》や『集古十種』の制作に携わる。木村蒹葭堂ら多くの文人とも交遊した。異なる画派の特徴を折衷させた多様な画風を示した。渡辺崋山ら多くの門人を出し、関東方面に南画の新たな画派を生んだ。78歳で没。
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INFORMATION作品情報

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