展覧会構成の紹介

このたび北京・故宮博物院の深いご理解と全面的なご支援により、日中国交正常化40周年記念「地上の天宮てんきゅう北京・故宮博物院展」を開催するはこびとなりました。

 北京・故宮博物院は、かつて紫禁城しきんじょうと呼ばれ、1368年から約550年にわたり中国を統治した明・清王朝のうち、24人の歴代皇帝が居住した世界最大規模の宮殿で、約180万点にのぼる膨大な作品を所蔵しています。

 本展では、后妃や宮女など故宮に生きた女性たちの知られざる波瀾万丈の生涯とそのまなざしをテーマに、絵画、工芸、服飾、宝飾などの国家一級文物を含む宮廷ゆかりの名品約200点を紹介いたします。

 展覧会は「第一部 故宮の后妃たち」「第二部 故宮の子どもたち」の二部構成で、「地上の天宮・紫禁城」に生きた后妃たちが紡ぎ出す宮廷文化の粋にせまります。今回出品される多くの国家一級文物の中でも特別出品として、儒教思想に基づく女性の徳と教育をテーマに九つの場面を描いた、故宮秘蔵の南宋時代の名画《女孝経図おんなこうきょうず》を海外初公開します。また西太后せいたいごうをはじめ皇后や皇妃たちが用いた豪華な食器による清朝宮廷の食卓再現は、故宮博物院としても初の試みとなります。その他、乾隆帝けんりゅうていの皇后や西太后を描いた肖像画、西太后の筆による書画、珍妃ちんひの金印など、后妃たちゆかりの文物が出 品されます。また、宮廷の子どもたちの玩具、皇子が描いた絵画、婚礼に使用した皇后の衣装などの興味深い品々も展示します。これらの作品からは宮廷の女性たちの生活習慣や風俗、文化や教育などの有り様が浮かび上がってくることでしょう。この貴重な機会に中国宮廷文化の精髄をご堪能いただければ幸いです。

 本展の開催が日中両国の文化交流の絆をさらに強固なものにしてゆく契機となり、多くの方々が中国文化への関心と理解を深められますとともに、人類の至宝がたたえる豊潤な美の精神に触れていただければと念願しております。

 開催にあたり、貴重な文物を多数ご貸与いただきました北京・故宮博物院をはじめ、ご後援を賜りました外務省、文化庁、中国文化部、中国大使館に対し、厚く御礼を申し上げますとともに、本展実現のためにご協力を賜りました全ての関係の皆様方に深く感謝の意を表します。

展覧会構成

[第一部 故宮の后妃たち]

  • 第一章 美しいふるまい - まつりごと・たしなみ
  • 第二章 楽しみ - 宮中の娯楽
  • 第三章 美装 - ファッションと美容
  • 第四章 美食 - 宮廷の食卓

[第二部 故宮の子どもたち]

  • 第一章 学ぶ - 皇子・皇女たちの教育
  • 第二章 育む - 皇子・皇女たちの生活