乾隆帝の妃が銅鏡を見て真剣に頭の上に金のかんざしを挿している。藍の華服は、縁に刺繍、金の花文をつけ、宮中女性の服飾の仕立てが入念で華麗なことを現す。人物の顔を西洋画家の郎世寧(カスティリオーネ)が描き、服飾と背景を宮廷画家の金廷標が描いた合作と思われ、乾隆期の宮廷絵画の特色が出ている。
鈿子は、満州族の后妃が慶祝の日にかぶる一種の冠帽(髪飾り)である。『道咸以来朝野雑記』によれば「女性が礼装を着る時、頭上に帯びるもの」を鈿子という。この真珠を象嵌した鳳凰を飾る鈿子は、清代の后妃が用いたものである。
爪カバーは、金片を指状に曲げて、根元から指先にかけて次第に細くする。根元は金銀の糸を編んだ細工による双連古銭文で飾り、指先は網状の連珠文を打ち出す。中国では古来から、女性の細い指に対して独特な審美意識がある。長い爪の保護とより細く見せる装飾のため、宮中の后妃たちが指にはめた独特な装身具。
太平車は、按摩器のことで、清代宮廷に見られる健康器具である。このローラーは5個の水晶と宝玉を連ね、左右に紫水晶、中間に茶水晶、瑪瑙、白水晶からなる。柄は白玉でできており霊芝雲文を彫る。軸には双龍の頭と竹の節飾りを施す。
晩年の西太后を描いた油彩画。写実的で西太后の特徴をよく表している。皮膚は細やかに潤い、美容品を常用していたことを示し、また清末期の后妃の服飾制度が見てとれる。両手につけた長い爪カバーなどはその例である。アメリカの女性画家カール(Katherine A Carl)が描いたといわれる。
上記の展示品:北京・故宮博物院蔵