「大三国志展」の準備のために、魏、呉、蜀のゆかりの地を約70箇所訪れ、3回の調査で1万6000キロもの道のりを走ってしまったのですが、三国志時代の遺跡やゆかりの品々を調査した折々に、現地の専門家をはじめ案内して下さったガイドや運転手の方々に、「三国志」の物語に登場する人物で、誰が好きですかと尋ねることにしていました。地域によって曹操が一番という人や孫権が好きだという人も多かったのですが、やはり関羽の人気は地域を越えて、高いものがありました。日本にも横浜をはじめ中国街には立派な関羽廟が建てられておりますが、日本人にも関羽の豪傑ぶりや信義を貫く人柄に魅力を感じる人は多いようです。
私が「三国志」を読んで最も心に残ったシーンは、曹操の軍に捕らえられ、曹操のもとに仕える身となった関羽が、お世話になった曹操への返礼として「白馬の戦い」で猛将・顔良を一気に打ち取り、曹操軍を勝利に導く場面があります。その後、主の玄徳の居場所がわかると、関羽に惚れ込んだ曹操の丁重な誘いを受けながらも、颯爽と玄徳のもとへと帰っていくところでした。英雄の心を知る曹操は関羽の心を受け止め、去っていく関羽を決して攻めてはならないと部下に命ずる度量の大きさも見事に表現されていました。
この場面は、物語を面白くするために脚色されていると言われていますが、三国志の物語には、1800年の歳月を越えて私たちの心を打つ多くの名場面が散りばめられているのです。
関羽の豪傑ぶりや、主君へのあつい姿を思い浮かべながら、当陽県にある関陵を訪れ、その墓所や廟内に咲く蝋梅(ろうばい)などを写してみました。
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