河南省の洛陽へむかう途中、龍門の石窟に寄りおびただしい石窟群を見ることができました。
この石窟は、敦煌莫高窟、大同の雲岡石窟とならぶ中国三大石窟の一つとして知られ、世界遺産にも登録されています。
三国時代から約300年後の北魏の時代(494年)に、最初の"仏がん"の造営がはじまり、以降、初唐の則天武后の時代まで営々として築かれていきました。
東漢の時代に仏教が中国に伝えられてから、都の洛陽には数多くの仏教建築が建造されましたが、仏教への信仰の姿は、こうした偉大な石窟群として花開きました。
おびただしい石窟のあるこの岩山の岩石は、敦煌や大同と比べて硬く、仏像を彫るにも窟を穿つにも時間がかかり、手間がかかったと言われています。しかし、そのおかげといっていいのでしょうか、仏像などの造形は繊細で美しい線が見事に表現されていました。龍門の石窟が創られ始めた5世紀ごろになると、インドから時間をかけて伝わってきた彫刻の様式が次第に中国化し、造形の特徴は、ボリュームよりも中国芸術の伝統である線が強調されるようになっていきました。
一枚目の写真は、龍門石窟の絶頂期にあたる初唐の時代(675年)に造営された本尊、廬舎那仏ですが、当時最も権勢を誇っていた則天武后の姿を模したものとも言われています。
石窟群の上から下を見下ろすと、小さな女の子がアイスクリームを食べていました。そして両親が我が子を笑顔で見守る姿、どこにでもある風景ですが、生命を慈しむ微笑ましい様子をみていると、心が温かくなりました。
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