若沖、蕭白、北斎、広重 大集合 !
浮世絵から日本刀まで
2019年9月、ICOM(国際博物館会議)京都大会を記念して、東京富士美術館が所蔵する日本美術の名品から選りすぐった「百花繚乱 ニッポン×ビジュツ」展が、京都文化博物館にて開催され、京都を訪れた訪日外国人をはじめ、多くの来館者から好評を博しました。本展はその里帰り展となるものです。
当館が所蔵する日本美術作品は、平安時代から近現代に至る多様な分野にわたっています。本展では千年の歴史の中で育まれてきた日本文化の豊穣な芸術世界のエッセンスをコンパクトにわかりやすく楽しむことができるように「キモカワ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」など日本美術を特色付けるキーワードを通し、ニッポンのビジュツを俯瞰的に横断します。絵画、浮世絵版画、漆工、刀剣、武具甲冑などの多様な分野におよぶ93点の名品を通して、日本の歴史と文化の多様性について理解していただけるとともに、日本美術の豊かさに触れる絶好の機会となるでしょう。
本展は、東京富士美術館がこれまで世界各国の政府・文化機関等の要請を受けて、海外15カ国1地域で24回にわたり開催してきた、当館所蔵日本美術の名宝展の集大成ともいえる展覧会です。来館者の皆さまにとって本展が、日本の歴史と文化の多様性や、日本美術の豊かさに触れる機会となれば幸いです。
後期:10/20〜11/29
キモカワ"Kawaii" 日本美術Japan
日本美術に登場するモチーフは、現代の私たちから見ると、ときに大変かわいく思われます。たとえば、円山応挙の描く犬や、長澤蘆雪の描くウサギは愛おしさを感じさせるカワイイ魅力を放っています。一方、曾我蕭白の描く仙人、東洲斎写楽の描く人物などは、デフォルメが強く、気持ち悪さや不気味さを持ちながらも、それゆえに可愛らしく感じられる、今でいう「キモカワ」的な印象を受けるかもしれません。「カワイイ」「キモカワ」の持つ多義的な魅力は、日本美術の特徴の一つともいえるかもしれません。
サムライSamurai 日本美術Japan
絵巻や屏風などの合戦絵に描かれた武士は、武具甲冑を身に帯び、日本独自の戦闘図の主人公として存在感を示しています。そしてもともと武士の身の回りの実用品でありながら、現在は「美術品」として鑑賞される武器や武具の数々。現在見ることができる武士の遺品は、消費され失われた多くの実用品とは一線を画し、いずれも当時の武士のこだわりや美意識を反映し、贅を尽くした逸品です。刀剣はぜひ武士が手に取って鑑賞したスタイルで名刀の美をあますところなくお楽しみください。
デザイン"Rimpa" Design 日本美術Japan
俵屋宗達に始まり、尾形光琳が発展させ、酒井抱一や鈴木其一に代表される「琳派」の絵師。彼らの活動は、直接の師弟関係によらず江戸時代を横断し、京都から江戸へ広がり、絵画や工芸をまたぐという既成の流派の概念に収まらないものでした。宗達、光琳、抱一、其一と描き継がれた風神雷神図、其一は抱一までの二曲一双で並び立つ二神を、大胆に襖四面の広大な空間の表裏に描き分けます。斬新な発想力に由来する独自の造形=デザインに彼らの真骨頂があります。
黄金の国Gold 日本美術Japan
日本美術といえば、「金」というイメージがありませんか。絵画では金箔や金泥を用いた金屏風、工芸では金を贅沢に使った蒔絵装飾が有名です。古来から金の魅力は日本人の心をとらえ、とりわけ鎌倉時代以降、貴族や武士の生活を飾る美術工芸品に金が多用されました。絵画の装飾や、物語図の場面を仕切る金雲などにも金は多用されました。ここではこれらの屏風が制作された当時、室内の灯明の光で鑑賞した際に、光を反射する金の輝きが絵画の鑑賞に与えた効果を感じてください。
四季Four Seasons 日本美術Japan
季節の表現は、日本美術の歴史と広がりにおいて大きなウェイトを占めています。古くは平安時代から、自然描写と相まって季節を描くことは広く行われ、とりわけ大画面の屏風では、六曲一双の向かって右側に「春→夏」を、左側に「秋→冬」を描くことが通例となりました。絵画・工芸など幅広いジャンルで、貴族や武士、そして庶民に至るまで人気の画題でした。四季の表現には、季節を表す動植物や情景などが用いられますが、その描写の発展には中国絵画の影響も見られます。
富士山M. Fuji 日本美術Japan
富士山はその圧倒的な存在感で、古くから人々を惹きつけてきました。名所絵として、あるいは富士信仰の対象として、日本美術のなかでもしばしば描かれています。江戸後期に、大胆な構図や遠近法を用いた葛飾北斎の「冨嶽三十六景」、諸国を旅して実地のスケッチを重ねた歌川広重の「東海道五十三次」などが出版され、大変な人気を博します。特に、北斎が夏の赤富士を描いた「凱風快晴」や「山下白雨」、荒れ狂う大波と富士を描いた「神奈川沖浪裏」は、日本を代表する美術作品といえるでしょう。
灯明で見る「源氏物語図屏風」
VRデモンストレーションVirtual Reality
江戸時代以前の灯りで屏風を見るとどのように見えるのか、VRで再現しました。作品は、本展出品作品の岩佐派《源氏物語図屛風》右隻です。VRで再現された灯明の光が届く範囲が、およそ物語のワンシーンに相当します。灯明の光が場面を区切る金雲と金色の地面に施された金箔・金泥に反射して、画面が明るく見える効果が認められます。
※ダウンロードに時間がかかりますので、そのままでお待ちください。マウスを動かすと、灯明皿が移動します。macOSのSafariでは動作しません。Google Chromeなどのブラウザでご覧ください。
使い方
視点移動:マウス左ボタン(押したまま移動してください)
ズームイン・アウト:マウススクロール
灯明奥行き:マウス両ボタン(同時に押して、押したまま移動してください)
画面右下の拡大マークを押すと全画面モードになります。
※通常画面に戻る時は[Esc]キーを押してください。
提供
東京工業大学 小長谷明彦名誉教授
恵泉女学園大学 稲本万里子教授
※文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B)
「オントロジーに基づく源氏絵データベースを共有・活用した源氏絵の総合研究」
(研究代表者:恵泉女学園大学 稲本万里子 2017-2021年度)
開催概要ABOUT
東京富士美術館所蔵
THIS IS JAPAN IN TOKYO 〜永遠の日本美術の名宝〜
若沖、蕭白、北斎、広重 大集合 ! 浮世絵から日本刀まで
From the Tokyo Fuji Art Museum Collection: “THIS IS JAPAN IN TOKYO—Eternal Treasures of Japanese Art"
会期
2020年9月1日(火)〜11月29日(日)
※一部作品、会期中(10/19)に展示替えあり
会場
東京富士美術館 本館 企画展示室
開館時間
午前10時 ~ 午後5時(午後4時30分受付終了)
休館日
月曜日 祝日の場合は開館。翌日火曜日が振替休館
※9/21(月)・9/22(火)・11/23(月)は開館、9/23(水)・11/24(火)は休館
主催
東京富士美術館、毎日新聞社
後援
八王子市、八王子市教育委員会、八王子商工会議所
入場料金
大人 1,300円 (1,000円) 大高生800円(700円) 中小生400円(300円) 未就学児無料
※新館常設展示室もご覧になれます
※土曜日は中小生無料
※( )内は各種割引料金[20名以上の団体・65歳以上の方・当館メルマガ登録者ほか]
※障がい児者、付添者1名は通常料金の半額[証明書をご提示下さい]
※誕生日当日にご来館された方はご本人のみ無料[証明書をご提示下さい ※休館日の場合は適用できません]
ACCESS MAP
東京富士美術館についてTokyo Fuji Art Museum
東京富士美術館は、1983年に開館した東京都八王子市にある総合的な美術館です。日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀 剣・メダルなど様々なジャンルの作品約30000点を収蔵しています。ルネサンス時代からバロック・ロココ・新古典主義・ロマン主義を経て、印象派・現代に至る西洋絵画500年の流れを一望できる油彩画コレクションと、写真の誕生から現代までの写真史を概観できる写真コレクションは当館最大の特徴となっています。 展覧会活動としては、「世界を語る美術館」をモットーに世界各国の優れた文化を新しい視点から紹介する海外文化交流特別展を国内外で活発に開催しています。