展覧会 - Exhibitions
海外文化交流特別展 サンクトペテルブルク 国立ロシア美術館展 ――ロシア絵画の黄金時代――
海外文化交流特別展
サンクトペテルブルク
国立ロシア美術館展
── ロシア絵画の黄金時代 ──
Special Exhibition for International Cultural Exchange
Masterpieces of the State Russian Museum
from Late 18th Century to Early 20th Century


 
【会期】
2008年1月24日(木)~3月23日(日)
【休館日】
会期中無休
【開館時間】
午前10時~午後5時(午後4時30分受付終了)
【入場料金】
大人1200(1000)円/大高生800(700)円/中小生400(300)円
※( )内は前売券、各種割引料金[20名以上の団体・65歳以上の方・当館メルマガ登録者ほか]
※毎週 土曜日は中小生無料
※障害者及び付添者1名は半額[証明書等をご提示下さい]
【主催】
東京富士美術館、産経新聞社
【後援】
外務省、文化庁、ロシア連邦大使館、八王子市、八王子市教育委員会、フジテレビジョン、サンケイスポーツ、夕刊フジ、フジサンケイビジネスアイ、iza!、SANKEI EXPRESS
【協賛】
トヨタ自動車、日本製紙、野崎印刷紙業、みずほ銀行、日本アイ・ビー・エム、間組、セコム、大日本インキ化学工業
【協力】
日本航空、日本通運
【公式ホームページ】
http://www.rusmuseum.jp/

国立ロシア美術館は、1898年、ニコライ2世のとき、サンクトペテルブルクのミハイロフスキー宮殿にロシア初の国立美術館として誕生しました。現在は約40万点のロシア美術の一大コレクションを誇り、10世紀から現代までのロシア美術史を網羅した世界最大のロシア美術の殿堂です。
本展では、同館のコレクションから約100点の絵画、彫刻、工芸を厳選し、18世紀後半から20世紀初めまでのロシア美術史を日本で初めて紹介します。ロシア美術は、当時ヨーロッパに流行したロココからロマン主義といった美術潮流をとり入れながらも、独自の発展を続けてきました。ロシア独特の雄大な自然をテーマにする一方、神話や英雄の理想主義絵画ばかりではなく、庶民を描いたリアリズム絵画も発展していきました。
19世紀後半、ロシアは変革の時代を迎えます。クラムスコイ、レーピン、スリコフらは民衆や農民の現実の生活、ロシアの歴史、人間の精神性、壮大なロシアの自然をありのままに描きました。彼らは厳格な美術アカデミーの保守性に反抗して「移動派」を結成し、各地で展覧会を開いたのです。彼らの目的は多くの人々に作品を鑑賞する機会を与えることでした。これにより貴族ら上流階級のものだった美術がはじめて一般大衆のものとなっていったのです。
本展はロシアが誇る、「金の時代」といわれる18世紀後半から20世紀はじめまでのロシア美術を日本で初めて、本格的かつ体系的に紹介します。ぜひご覧ください。


主な出品作家
Artists
© The State Russian Museum 2007-2008

国立ロシア美術館に所蔵される傑作を生み出した、18世紀後半から20世紀初頭までのロシア近代絵画の巨匠たち。彼等の軌跡とその作風を、代表作品とともにご紹介します。

ロシア・リアリズム絵画最大の巨匠 イリヤ・レーピン Ilya Repin (1844~1930)
1863年、画家奨励協会デッサン学校でクラムスコイに師事。1864-71年、ペテルブルク美術アカデミーで学び、1873-76年イタリア・フランスに留学。1878年に移動美術展協会の会員となります。他にもストックホルム王立美術アカデミー、パリ学士院、パリ美術協会、ミラノ美術アカデミー、ウィーン分離派等の会員で、その活動はロシア国内にとどまりません。
それまでの誰よりも鋭くロシア人の表情と心理を表現したレーピンは、風俗画・肖像画・歴史画という各分野においてあくなき創作力を示した、19世紀後半のロシア美術の中心的存在。
『何という広がりだ!』1903年 油彩・カンヴァス
『何という広がりだ!』1903年 油彩・カンヴァス
荒々しい波のしぶきの中で、楽しそうにはしゃいでいるように見えるカップル・・・誰もがこの作品を観て「いったいどんな状況なのだろう?」と首を捻らずにはいられない不思議な印象の作品。
レーピン自身は、妻とともに晩年を過ごしたフィンランド湾に面した現在のレーピノという場所の別荘での生活から受けた印象にインスパイアされたとだけ言っていますが、評論家のウラジミール・スターソフは、この作品を「災難に圧倒されるような時でさえ、希望を失わないという『ロシアの若さ』を描いているロマンティックな作品」と評しています。
幅が3m近くもあるこの作品の圧倒的な迫力は、観る人をもこの波の中に巻き込むことでしょう。
『作家ナタリア・ノルドマン=セヴェロヴァ(画家の妻)の肖像』 1905年 油彩・カンヴァス   『作家ナタリア・ノルドマン=
セヴェロヴァ(画家の妻)の肖像』
1905年 油彩・カンヴァス

『芝草のベンチで』1876年 油彩・カンヴァス
『芝草のベンチで』1876年 油彩・カンヴァス

風景画の巨匠 イヴァン・シーシキン Ivan Shishkin (1832~1893)
1852~56年美術アカデミーにで学び、1862~65年ヨーロッパ各都市に留学。1865年にアカデミー会員、73年には同教授となります。移動美術展協会の創立メンバー。
「風景画の最も重要なことは、自然をたゆみなく学ぶこと」というシーシキンは、科学的で厳密な手法で風景を客観的に描写し、ロシアの自然の雄大さや美しさを謳いあげました。クラムスコイは、彼を「ロシア風景画発展の道標であり、教典」と評しています。
『針葉樹林』1895年油彩・カンヴァス 『針葉樹林』
1895年油彩・カンヴァス
シーシキンは、ロシアの広大な針葉樹林をモチーフとして好んで描いています。背の高い針葉樹林に差し込む木洩れ日、木々の映り込んだ水面、手前には柔らかそうな苔をまとった倒木が細密に描かれたこの作品は、夏の森の中の木々の香りや、ひんやりした空気さえ感じさせます。
『冬』1890年 油彩・カンヴァス
『冬』1890年 油彩・カンヴァス

移動展派のリーダー ― 心理的肖像画の巨匠 イヴァン・クラムスコイ Ivan Kramskoi (1837~1887)
画家であり、美術評論家。1863年ペテルブルクの美術アカデミーで学校側が与えた歴史画のテーマを拒否し退学したという「14人の反乱」の中心的人物で、その後1870年には移動美術展協会を結成し、その思想的指導者でもありました。クラムスコイの描く肖像画は、モデルの表情をリアルに描き出す力もさることながら、対象の内面までをも鋭く描き出しており、その深い分析は小説におけるトルストイやドストエフスキーの人物描写に匹敵するといわれています。クラムスコイは先のシーシキンと同様、科学者のまなざしで対象を見つめました。
『ソフィア・クラムスカヤの肖像』1882年 油彩・カンヴァス 『ソフィア・クラムスカヤの肖像』
1882年 油彩・カンヴァス
クラムスコイがもっとも多く手がけたのは娘のソフィア・クラムスカヤ(1866-1933)の肖像です。
赤ん坊の頃から性格や容貌の変化を捉え、娘の成長を追うような形で絵を描いていました。この肖像画は16歳となった娘の、青春の魅力で輝いている姿を描いたものです。
『ミーナ・モイセーエフ』1882年油彩・カンヴァス 『ミーナ・モイセーエフ』
1882年油彩・カンヴァス
クラムスコイの代表作とされる作品。過酷な生活を偲ばせるたくさんの深い皺が刻み込まれた農民の表情は、人間味に満ち溢れ、前かがみの姿勢でいることで私たちに優しく語りかけるかのようです。

海洋画の巨匠 イヴァン・アイヴァゾフスキー Ivan Aivazovsky (1817~1900)
アイヴァゾフスキーは1836年、バルチック艦隊に同行して絵を描き、1845年には皇帝ニコライ1世から「海軍総司令部の画家」という資格を与えられ、多くの海洋画を制作。このジャンルでは、ロシアばかりでなく世界的に最も優れた画家として数えられています。ジェリコーの名作≪メデューズ号の筏≫(1819年、ルーブル美術館蔵)に比肩するようなドラマティックな代表作≪第九の怒涛≫は、国立ロシア美術館の所蔵品の中でも特に人気が高く、高い波がうねりを上げる嵐の海に遭難しかけた人間たちがマストの破片につかまっているというもので、ドラクロワにも影響を与えたといわれています。
『月夜』1849年 油彩・カンヴァス
『月夜』1849年 油彩・カンヴァス
アイヴァゾフスキーというとドラマティックな嵐の海が有名だが、この雲の切れ間から差し込む一条の月の光に浮かび上がる、凪いで穏やかな夜の海の美しさはどうだろう。うっとりするようなロマンティックな情景を前に、しばらくじっと佇んでみたくなるような作品。
『穏やかな海岸、凪』1843年 油彩・カンヴァス
『穏やかな海岸、凪』1843年 油彩・カンヴァス

『アイヤ岬の嵐』1875年 油彩・カンヴァス
『アイヤ岬の嵐』1875年 油彩・カンヴァス



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