当館では、「水の惑星・地球から380,000キロ 月世界(げっせかい)の旅 NASA と月面探査機「かぐや」の記録」を開催します。
今から40年前の1969年7月20日、この日は人類にとって歴史的な日でした。アメリカNASA(米航空宇宙局)によって打ち上げられた「アポロ11号」が初めて地球から36万キロメートル先の地球の衛星“月”にたどり着きました。月面に降り立ったアームストロング船長は「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍となるだろう」と有名なメッセージを地球へ向けて語っています。このとき2人の宇宙飛行士は岩石の採取、測量機器の設置を行うとともに、貴重な月面の光景を撮影をして地球へ帰還しました。
その後NASA は無人探査機による惑星調査や宇宙ステーションの建設など経済的で実用性のある宇宙開発を進めていきます。そんな中、2007年9月にこれらのアポロ計画以来最大規模の月の調査として、日本の月探査機「かぐや」(SELENE)が打ち上げられました。「かぐや」はたくさんの科学データを得て大きな成果を上げましたが、さらに、この月探査機にはハイビジョン・カメラが搭載され、月の出ならぬ、月から見た“ 地球の入り” と“ 地球の出” が撮影され地球に送信されてきたのです。
現在、NASA では15機以上の無人探査機を月へ打ち上げる予定をしています。これらは将来の月の資源利用や宇宙基地建設を目的としての探査ですが、各国も将来の有人基地の適地探しのため、インドでは「チャンドラヤーン1号」、中国は「嫦娥1号」を打ち上げ、NASA は月面着陸を2020年には達成できるように計画しています。これらの月の探査は人類が宇宙への活動を広げていくステップとして重要になってきます。月面に有人基地をつくり、そこから火星へと向かうことも夢ではないでしょう。
本展では、歴史的な1969年の月面着陸の際に撮影された当館所蔵の数々のNASAの写真と、それを撮影した宇宙カメラの1号機を展示いたしました。
また、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のご協力により、月の軌道より「かぐや」によって撮影された“地球の入り”、“地球の出” をご覧いただけます。
来るべき宇宙時代を想像しながらゆっくりご鑑賞ください。
人類史上初めて月に到達したアポロ11号の月面での撮影にはスウェーデン製の「ハッセルブラッド・スペース 500EL」が使用されました。月には大気がないため昼間の温度が110度C位まで上昇し、夜はマイナス150度Cにもなります。この過酷な環境に耐えられるように強い耐候性のある金属が使用されています。フィルムはコダックの70×70ミリサイズ。撮影を終えたカメラは後部のフィルム・マガジンのみを地球に持ち帰り、ボディ部分は月面に残してきます。その軽くなった重量分だけ「月の石」を地球に持ち帰ってきました。本機は何度かのテスト機制作の後に作られた最終デザインの第1号機として、ボディに製造番号「SN/1001」が刻印されています。これ以降のカメラは月に向かい月面に置いてきたことから地球にあるオリジナルの月面用宇宙カメラとして貴重な1台です。また、宇宙飛行士は顔面にマスクを着けているため、ファインダーで見る事はできません。このため50ミリの広角レンズ上部に目視用の三角のマークがつけられています。撮影の際の露出は午前、午後などの時間帯別に添付シールに指定された数値で行います。月には雲がありませんので安定した光線が得られるからです。
会 期: | 7月14日(火)~9月27日(日) |
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会 場: | 新館 第7展示室 |
出品内容: | 月面撮影用・宇宙カメラ 1台 NASA 写真10点 月周回衛星「かぐや」観測映像(JAXA 提供) |
No | タイトル | 機体ナンバー | 撮影 | 年月日 | 形質 | 所蔵 |
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1 | 月面の軌道より地球を見る | アポロ8号 | NASA | 1968年12月24日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
2 | 月への第一歩 (アームストロング船長の足跡) | アポロ11号 | NASA | 1969年7月20日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
3 | 人類初の月面着陸に成功 (「静かの海」に立つオルドリン宇宙飛行士) | アポロ11号 | NASA | 1969年7月16日~24日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
4 | 月面上空の月着陸船イーグルと地球 | アポロ11号 | NASA | 1969年7月16日~24日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
5 | 月面の岩石を採取するアラン・ビーン宇宙飛行士 | アポロ12号 | NASA | 1969年11月14日~24日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
6 | 月面に観測装置をセットする宇宙飛行士 | アポロ12号 | NASA | 1969年11月14日~24日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
7 | 月面に立てられたアメリカの星条旗 | アポロ14号 | NASA | 1971年1月31日~2月9日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
8 | 月着陸船から離れ 月面を移動する探査機(MET) | アポロ14号 | NASA | 1971年1月31日~2月9日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
9 | 月面に運ばれた家族の写真 (デューク宇宙飛行士の家族) | アポロ16号 | NASA | 1972年4月16日~27日 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
10 | 国際宇宙ステーションを組み立てる2人の宇宙飛行士 | スペースシャトル 「エンデバー号」 | NASA | 1998年12月 | ダイトランスファー・ プリント | 東京富士美術館蔵 |
タイトル | 所蔵 |
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月面撮影用・宇宙カメラ=ハッセルブラッド・スペース 550EL(SN/1001号機) | 東京富士美術館蔵 |