ここでは当展覧会展示作品の中から毎週厳選してご紹介いたします。

エドゥワール・マネ
(1832--1883)
「散歩」
1880頃
油彩・カンヴァス
92.3 x 70.5cm
東京富士美術館


1863年のサロンに落選した《草上の食事》がスキャンダラスとなり、2年後のサロン入選作《オランピア》とともに激しい非難を浴びた。このことが印象主義運動を惹起させたことで、マネは印象派の生みの親といわれる。
この「散歩」はマネの最晩年の傑作の一つ。大胆に素早いタッチで彩られた緑色の濃淡が織りなす色面を背景に、シックで鮮やかな黒が踊る色彩の見事な対比と調和。緑と黒の色彩の配合は《草上の食事》(オルセ美術館)を経て、本作の前年に描かれた《温室にて》(ベルリン国立美術館)に至るまで、マネの絵画に特有の基調色である。また陽光の日陰の満ち足りた柔らかい光で対象を捉えて光の効果を高めつつ、美しい色彩のアンサンブルを得ることに成功している。モデルは友人のガンビー夫人で、パリ郊外のベルヴューにある家の庭で描かれた。この頃マネは、後に彼の命を奪うことになる病気の治療のため、パリを離れて療養生活を送っていた。本作には、そんなマネの病苦を振り払うかのように、若い女性のもつ豊かな生命感が描きとめられている。パリの流行ファッションに身を固め、溌剌と庭を散歩する彼女の姿に、画家は人生の最終章における生の輝きを見出したのかもしれない。

アルバート・ジョセフ・ムーア
(1841--1893)
「盛夏」
1887年
イワン・ニコラエビッチ・クラムスコイ
(1837--1887)
「見知らぬ女」
1883年
喜多川歌麿
(1753--1806)
「婦人相学十躰 浮気之相」
江戸時代後期(寛政頃)18世紀後半
ハインリッヒ・フォン・アンゲリ
(1840--1925)
「皇太子妃シュテファニー」
1885年
アルフォンス・ミュシャ
(1860--1939)
「歌劇『ジスモンダ』/
サラ・ベルナール主演」

1894年
ジュリア・マーガレット・キャメロン
(1815--1879)
「愛しのレイチェル」
1870年頃
ゲオルグ・ラープ
(1821--1895)
「ルビーのあるドレスで正装をした
皇后エリザベート」

1879年
サンドロ・ボッティチェルリ
(1444/45--1510)
「海の聖母」
1475-80年頃
上村松園
(1875--1949)
「晩秋」
昭和18年
ジョージ・スペンサー・ワトソン
(1869--1933)
「婦人の肖像」
イワン・ニコラエビッチ・クラムスコイ
(1837--1887)
「月夜」
1880年
アンドレア・デル・カスターニョ
(1419/21--1457)
「王妃エステル」
1450年頃
ボリス・ミハイロビッチ・クストージエフ
(1878--1927)
「美人」
1915年
ミケーレ・ゴルディジャーニ
(1835--1909)
「シルクのソファー」
1879年
ティントレット(ヤコポ・ロブスティ)
(1519--1594)
「レダと白鳥」
1545-60年頃
ドメニコ・ギルランダイオ
(1449--1494)
「ジョヴァンナ・トルナブオーニ」
1485-88年頃
懐月堂安度(かいげつどうあんど)
生没年不詳
「遊女図」
江戸時代中期(18世紀前半)
ポール・ドラローシュ
(1797--1856)
「天使の頭部」
1835年頃

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