ごあんない

このたび東京富士美術館では、海外文化交流特別展「フリードル先生とテレジンの子どもたち」展を国際的に著名なユダヤ人の人権団体であるサイモン・ヴィーゼンタール・センターの協力で開催することとなりました。


フリードル・ディッカー・ブランデイズ
(1898~1944)
本展は、オーストリア生まれの女流画家でテレジン強制収容所(現・チェコ共和国)で収容者の身となりながらも、死の淵に瀕した子どもたちに美術を通して“生きること”を教え続けたフリードル・ディッカー・ブランデイズ(1898~1944)の芸術《油彩画》《水彩画》《素描》《工芸》《オブジェ》と教授法を紹介するとともに、彼女の人権闘争を浮き彫りにするものです。また、フリードルの行った授業によって、死の恐怖や地獄のような環境をはね除けんとする、子どもたちの描いた絵画のオリジナルを公開いたします。

さらに、テレジンでフリードルから絵画を学び、ホロコーストを生き延びた当時16歳の少女(エルナ・ファーマン教授)が、“自身の生涯の最期に...”との思いで、テレジン収容所内で制作した絵画150点と、収容所の出来事を詳細に書き留めた“日記”を世界初公開!

“21世紀に生き続けるアンネ・フランク”として大変貴重かつ重要な意義をとどめることとなるでしょう。

このほか、サイモン・ヴィーゼンタール・センターの寛容博物館より、ホロコーストの歴史資料も特別に公開されることとなりました。

本展は、フリードルの故郷ウィーンで開幕し、チェコ、フランス、スウェーデン、ドイツ、アメリカの6カ国を巡回し、今まで知られなかったフリードルの存在に大変多くの反響が寄せられました。日本では7カ国目になります。中でも、日本展では、サイモン・ヴィーゼンタール・センターの所蔵品をはじめ、プラハ・ユダヤ博物館、ウィーン応用美術大学、そして約30もの個人所蔵家の方々より出品され、世界巡回展の白眉を飾る最大規模のものとなります。

本展の開催が、奇しくも21世紀の冒頭を平和で迎えることの出来なかった私たちにとって“教育とはなにか”“人権とはなにか”そして“生きることとはなにか”を問いかけるとともに、戦争や殺戮のない「平和の世紀」を構築する一助となることを念願するものです。


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