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SUMMARY作品解説

18世紀のフランスでは、太陽王と呼ばれたルイ14世の厳格で権威主義的な治世が終わり、ルイ15世の自由で開放的な時代の雰囲気へと移り変わっていく。それは美術の分野においても、「ロココ」という豊かな装飾性と優美で典雅な感覚の美術様式を生み出した。ブーシェはそのロココの精神を最も体現した画家といわれ、本作のような、牧歌的な風景のなかに男女を描いた「牧歌的田園画」は彼の得意分野であった。 こちらに背を向けて座っている男の右手には紐が握られているが、それは画面右奥に仕掛けられた小鳥を捕まえる網につながっている。しかしながら男は傍らの女に気を取られているようで、網の近くでは胸の赤いヒワやコマドリなどの小鳥が自由に戯れている。これらの鳥はヨーロッパでは伝統的にキリスト教に関連して描かれる鳥であり、ルネサンス期のラファエロが描いた《ヒワの聖母》などが有名であるが、その際の聖母は、慈愛を象徴する赤色と、真実を象徴する青色の衣を着用して表される。本作は宗教画ではないが、ヒワなどの小鳥や赤と青の衣装など、キリスト教の伝統的なイメージをさりげなく取り入れることによって、鑑賞者が親近感を持つように仕向けられているのかもしれない。 本作は、羊飼いの青年と若い女の、田園での甘い語らいを描いた、ブーシェの《田園の奏楽》(東京富士美術館所蔵)と対をなす作品として描かれたものである。

ARTIST作家解説

フランソワ・ブーシェ

François Boucher1703-1770

18世紀フランスのロココ絵画を代表する画家。20歳でアカデミーの大賞を獲得。その後イタリアに遊学。ここでヴェネツィアの絵画に深い感銘を受ける。帰国後、アカデミー会員となる。後に会長に就任し、ヴェルサイユにおいては、ルイ15世の首席宮廷画家となって、ポンパドゥール夫人の絵画教師もつとめた。彼の芸術活動は実に幅広く、ヴェルサイユ宮の装飾、タピスリーやセーヴル陶磁器のデザインのほか、オペラ座の舞台デザインをも手がけた。絵画においては永遠の女性ヴィーナス礼讃こそ彼の一生を賭けたモチーフであった。

同じ作家の作品一覧

INFORMATION作品情報

出品歴

2023年11月28日 (火)~2月28日 (水)

心象とまなざし─東京富士美術館所蔵 西洋肖像画展 南山博物館(中国、深圳)

2023年8月5日 (土)~11月12日 (日)

時代の顔─東京富士美術館蔵西方人物絵画精品展 国家大劇院(中国、北京)

2023年4月19日 (水)~7月23日 (日)

西方人物絵画400年─東京富士美術館蔵精品展 上海宝龍美術館(中国、上海)

2022年12月27日 (火)~4月5日 (水)

心象とまなざし─東京富士美術館所蔵 西洋絵画精選展 遼寧省博物館(中国、藩陽)

2020年5月26日 (火)~8月16日 (日)

フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容 大阪市立美術館(大阪、大阪市)

2020年2月4日 (火)~3月29日 (日)

フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容 九州国立博物館(福岡、太宰府市)

2016年7月9日 (土)~8月28日 (日)

巨匠たちの競演 西洋絵画の300年〜ヴァン・ダイク、ドラクロワ、モネ、シャガール 長野県信濃美術館(長野、長野市)

2015年6月27日 (土)~8月30日 (日)

美の饗宴 西洋絵画の300年―バロック、ロココからエコール・ド・パリまで 八幡浜市民ギャラリー(愛媛、八幡浜市)

2015年4月29日 (水)~6月21日 (日)

美の饗宴 西洋絵画の300年―バロック、ロココからエコール・ド・パリまで 徳島県立近代美術館(徳島、徳島市)

来歴

Provenance: Commandés par le marquis de Beringhen, Ecuyer du Roi Vente Beringhen, Paris, 2 juillet 1770, no. 36 (acquis 1 400 livres) Vente Dangé, Fermier Général, Paris, 7 février 1778, no. 6 Vente de Pange, Paris, 5 mars 1781, no. 43 (acquis 600 livres par Langlier) Collection Baron de Cassin Collection Madame Millon de La Verteville, sa fille Exhibited: 「18世紀珠玉のフランス絵画展」、東京富士美術館、1988

参考文献

Literature: E. et J. de Goncourt, L’Art du dix-Huitième siècle, Paris, 1880, Ⅰ, p.196 A. Michel, François Boucher (catalogue raisonné par L. Soullié et C. Masson), Paris, 1906 p.77 du catalogue, no.1382 et 1393 (nos tableaux sont catalogués deux fois sous deux numéros différents) P. de Nolhac, François Boucher, premier peintre du Roi (catalogue des œuvers peints de François Boucher qui ont passé en vente publique par G. Pannier), Paris, 1907, p.151 et 153 H. Macfall, Boucher, The Man, His Times, His Heart and His Significance, Londres, 1908, p.145 M. Roux, Inventaire du Fonds Français : graveurs du ⅩⅧ’ siècle, Ⅵ, Paris, 1949, p.107 (cité sous le no.103) A. Ananoff, François Boucher, Lausanne et Paris, 1976, p.69, 377-378, no.261 et 262 (reproduit les gravures de Daullé sous les fig.784 et 785) P. Jean-Richard, L’ Œuvre gravé de François Boucher dans la collection Edmond de Rothschild, Paris, 1978, p.162, cité sous le no.554 ( la gravure de Daullé, La musique pastorale, est reproduite p.162) A. Ananoff et D. Widenstein, L’Opera completa di Boucher, Milan, 1980, p.107, no.269 et 270 (reproduit les gravures de Daullé sous les no.269¹ et 270¹) Catalogue de l’exposition Boucher, New-York, Détroit, Paris, 1986-1987, cat. par A Laing, p.29 (« disparus ») 「18世紀珠玉のフランス絵画展」カタログ、no.4,、no.5、東京富士美術館、1988

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