作品詳細
ダヴィデ王を諫めるナタン
Nathan Admonishes King David
- 1683年
- 油彩、カンヴァス
- 99.0×125.5cm
この絵の主題は、旧約聖書に語られた預言者ナタンがダヴィデ王を諌める場面(「サムエル記下」12章1—14節)。
ウリヤの妻バテシバに恋したダヴィデは、ウリヤを危険な戦場に派遣する。ダヴィデのもくろみ通りにウリヤが戦死すると、ダヴィデはバテシバを妻にしてしまい、二人のあいだには息子が生まれる。しかし神は、ダヴィデのもとに預言者ナタンを遣わす。そこでナタンは、ダヴィデに富者と貧者の譬え話を語り、ダヴィデに自分の犯した罪を諭すのである。すなわち、ある富者は多くの家畜を所有していたにもかかわらず、客人をもてなす時、自分の家畜を屠殺するのが惜しくなり、貧者が自分の家族同様に可愛がっていた雌羊を盗んでもてなした、と。ダウィデはその男のことを非常に怒り、彼は殺されるべきであるという。ナタンはダヴィデに「あなたはその男だ」と告げる。つまり、栄華をきわめたダヴィデ王が自分の部下の妻を奪ったのは、この富者と同じだというのである。そして、神はこのダヴィデの罪に対する罰として、彼とバテシバの息子の命を奪ったという。
画面には、杖を手にした質素な身なりのナタンと、王笏を持ち豪華な衣装を身につけたダヴィデが描かれている。ここでヘルダーは、譬え話の富者と貧者を暗喩するかのように、対照的な衣装に身を包んだ二人の人物の顔の表情と手ぶりを表現力豊かに描き出し、対話によってあぶり出される心理的な反応を表現しようとしている。明暗の対比で浮かび上がる人物に深い精神性を与えつつ、自身では気がつかないような人間の心の奥底、目には見えない人間の心理的な領域を視覚化しようと試みているかのようである。
ヘルダーはアムステルダムでレンブラントに学び、師の後期様式に手を加え展開させた。ヘルダーの最高傑作のいくつかは、しばしばレンブラント作品と見なされたこともあり、「ヘルダーの絵はレンブラントの絵よりも美しすぎる」との批評があるように、精錬された美感に溢れている。
ARTIST
アールト・デ・ヘルダー
Aert de Gelder(1645-1727)
オランダの画家。ドルドレヒトに生まれ、同地で没。レンブラントのアトリエに入り、彼の後期の様式の影響下に制作を続けた。ヘルダーはレンブラントの最も才能ある創造力豊かな弟子の一人であり、その作品には師の色彩の深さにまで達しているものもある。後年、自身の暗い色彩に、18世紀に好まれた明るい調子を加えているが、画中の人物に好んでオリエント風の衣装を着せるなど、生涯にわたりレンブラントの称賛者であった。
現在展示中
2019年1月5日 (土)
~3月24日 (日)
展覧会名:
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで
展示室:
常設展示室2
出品歴
- 2003年4月18日 (金)~5月25日 (日)
美の巨匠たち 西洋絵画〜400年〜 福岡市美術館(福岡、福岡市) - 2000年10月1日 (日)~12月3日 (日)
西洋名画展—ルネサンスから20世紀 国父記念館(台湾、台北) - 1992年10月16日 (金)~11月5日 (木)
西洋絵画名作展—ルネサンスから印象派、20世紀の絵画 中国美術館(中国、北京) - 1992年4月15日 (水)~6月7日 (日)
「レンブラント 彼と師と弟子たち」展 Bunkamura ザ・ミュージアム(東京、渋谷区) - 1990年11月3日 (土)~12月2日 (日)
西洋絵画名品展 湖巖美術館(韓国、京畿道龍仁郡) - 1990年9月22日 (土)~10月21日 (日)
西洋絵画名品展 中央日報・湖巖ギャラリー(韓国、ソウル)
来歴
- Provenance:
Thomas Schwenke sale, The Hague, Oct. 6, 1767, no. 27
Sale, Christie’s ,London, April 4, 1939, no. 29
参考文献
W. Sumowski, Gemälde der Rembrandt-Schüler Ⅱ,1983, no.736, with list of literture, ill.p.1196
東京富士美術館
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・創価大学循環
いずれも「創価大正門東京富士美術館」で下車
京王八王子駅
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・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
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JR秋川駅 ※1時間1本程度運行
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