TFAM NEWS
「遥かなるルネサンス」展出品作品紹介
「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。
《天正遣欧少年使節からヴェネツィア共和国政府への感謝状》
1585年7月2日付 墨、インク、紙 31.8 x 41.7 cm
ヴァチカン市国、ヴァチカン教皇庁図書館
© by Biblioteca Apostolica Vaticana
1585年6月26日、少年使節一行はヴェネツィアに到着します。ここで彼らは町をあげての大歓迎をうけ、ヴェネツィア統領ニコロ・ダ・ポンテとの謁見の翌日には、サン・マルコ広場での祝典行列に参加します。この祝典は、彼らの到着にあわせてわざわざ日にちを延期して開催されたものでした。ヴェネツィアを出発する時、使節一行は、このような大歓迎に対する感謝を記した手紙を贈りました。それがこの感謝状です。
この中には、使節一行が「日本のキリシタン大名の名代として、ローマ教皇に謁見するために来た」ことが記され、「歌になるほど素晴らしいと聞いていたヴェネツィアを訪問することができて、聞きしに勝る素晴らしさにとても感動した」ことが述べられています。そして「もし日本に無事に帰国できた暁には、見聞したことを人々に話したい」とあります。このような手紙には、主席正使の伊東マンショ一人が署名するのが通常ですが、この感謝状には、少年使節四人全員の署名がされており、大変珍しいものです。
「遥かなるルネサンス」展出品作品紹介
「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。
パオロ・ヴェロネーゼ(パオロ・カリアーリ)
《息子アンテロスをユピテルに示すヴィーナスとメルクリウス》
1561-65年頃 油彩、カンヴァス 150 x 243 cm
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi
女神ヴィーナスとメルクリウスとの間にはエロスという息子が生まれましたが、成長が止まってしまいます。息子の身を案じたヴィーナスは、女神テミスのもとを訪れると、「弟の誕生によりエロスの健康は回復するだろう」という神託が下されました。ここには、ヴィーナスが夫メルクリウスと共に、誕生した次男アンテロスをユピテル神殿に奉献する場面が描かれています。
パオロ・ヴェロネーゼはヴェネツィアを拠点に活躍した画家です。画面上部に配置された祭壇には、神の姿が描かれていますが、脛(すね)と右手だけしか見えません。しかしながら、ユピテルを象徴する鷲の存在によって、この神がユピテルであることがわかります。あたかも舞台芸術のようなこの構図は、神話的・象徴的主題とともに1560年代のヴェロネーゼの特徴をよく示しています。
国立ロシア美術館と協力関係の覚書を締結
11月16日、サンクトペテルブルクで、国立ロシア美術館と東京富士美術館が協力関係を結ぶ覚書を締結しました。
ロシア民族学博物館で行われた調印式には国立ロシア美術館のグーセフ館長と当館の五木田館長らが出席。
この覚書の締結は、ロシア政府が主催する国際文化フォーラムの一環として行われ、展覧会や共同プロジェクトの推進等の文化・学術交流を目的としています。当館ではこれまでも「第九の怒濤展」(2003〜2004年)「国立ロシア美術館展」(2008年)を開催しました。このたびの覚書の締結により実現した国立ロシア美術館とのさらなる協力関係により、今後ますます活発な文化・学術交流を推進して参ります。
「遥かなるルネサンス」展グッズ紹介
「遥かなるルネサンス」展で販売されているグッズをご紹介いたします。
プティマグアート800円(税込)。本展のメイン作品の《ビア・デ・メディチの肖像》などをあしらった小さな額絵です。裏面がマグネットになっているので冷蔵庫やメタルラックなど今までは飾れなかった場所にも飾って楽しめます。
「遥かなるルネサンス」展出品作品紹介
「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。
ドメニコ・ティントレット(ドメニコ・ロブスティ)
《伊東マンショの肖像》
1585年 油彩、カンヴァス 54 x 43 cm
ミラノ、トリヴルツィオ財団
16世紀後半に流行したスペイン式の衣装を身に着けた、伊東マンショの肖像画です。1585年6月、少年使節一行はヴェネツィア共和国を訪問します。この肖像画は、その際、ドゥカーレ宮殿の大評議会広間に飾るために、元老院によってヤコポ・ティントレットに発注され、のちに息子のドメニコが完成させたものです。
当時の文献から、伊東マンショの肖像画が発注されたことは知られていましたが、絵画の存在は不明のままでした。しかし2014年に、所有者であるトリヴルツィオ財団の調査によってその存在が確認され、大きな話題となりました。修復によって作品の裏面に、「ドン・マンショは日向の国王の甥であり、豊後の国王フランチェスコより教皇聖下へ派遣された大使である 1585年」と書かれていることが分かり、この絵が「伊東マンショ」を描いた肖像画であることが確認されたのです。
ヤコポは当初、大きな集団肖像画を構想して本作品の制作を始めましたが、彼の没後、息子のドメニコが、工房に残されていた絵を、サイズを切り詰めて、単独の肖像画として仕上げたか、あるいは個別に制作していた肖像画のうち、唯一ほぼ仕上がっていた「伊東マンショ」をさらにトリミング加工して仕上げたのではないかと推測されます。
父ヤコポよりも優れた肖像画家であったドメニコは、年若き東洋からの使者の容貌に、厳かで自尊心に満ちながらも不遜なところが一切ない表情を捉えて描いています。鑑賞者を引き付けて離しがたいその視線を通じ、魅惑的な力を伝えることに成功しています。
「遥かなるルネサンス」展グッズ紹介
「遥かなるルネサンス」展で販売されているグッズをご紹介いたします。
イタリアのフィレンツェの老舗高級ステーショナリーメーカーROSSI(ロッシ)。イタリアの伝統的な柄と箔押しを得意としながら新しいデザインにも積極的に取り組み、美しい紙製品を世界に送り出しています。レターセット1,944円(税込)、グリーティングカード450円(税込)、ノート1,800円(税込)。
「遥かなるルネサンス」展出品作品紹介
「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。
ローマの画家(?)
《ヨーロッパ内外にセミナリオを設立するグレゴリウス13世》
16世紀末-17世紀初頭 油彩、カンヴァス 190 x 280 cm
ローマ、グレゴリアン大学
画面中央の天蓋(てんがい)の下に座った教皇グレゴリウス13世が、世界各地でのセミナリオやコレジオなどの神学校を設立する計画を、イエズス会士たちに託(たく)す場面が描かれています。
1585年3月23日、少年使節一行はローマの地で教皇グレゴリウス13世に謁見します。一行を歓迎するために、ローマ市内ではパレードが行われ、町の沿道の窓からは歓迎の垂れ幕が飾られ、祝砲が鳴り響きました。謁見式では、彼らを派遣したキリシタン大名、有馬晴信の書状が朗読され、病気で欠席した中浦ジュリアンを除く3人の少年達が教皇に挨拶をしましました。このとき教皇グレゴリウス13世は涙を流しながら彼らを讃(たた)え、手を取り抱きしめたといいます。この日本からの少年使節の訪問は、歴史的な出来事として記録され、多くの書籍が出版されました。
この謁見からわずか18日後の4月10日、グレゴリウス13世は死去します。教皇は最期まで「日本の少年たちはどうしているか?」と気遣っていたといわれています。
本作のなかで、跪(ひざまず)くイエズス会士が教皇から渡されている書類には「日本(ヤポニクム)」の文字が見えます。グレゴリウス13世の遺徳を讃えるために描かれた本作に、「日本」の文字が描き込まれているということは、少年使節たちの来訪が、当時のヨーロッパの人々にとっていかに大きな出来事であったかを物語っています。
この作品は、イエズス会士の教育が行われていたローマ学院の中央入口に飾られていました。
「遥かなるルネサンス」展グッズ紹介
「遥かなるルネサンス」展で販売されているグッズをご紹介いたします。
「お気に入りの作品をあなたの手首に。」宝石の街、山梨県甲府市でこの道50年のプロフェッショナルが、本展のメイン作品《ビア・デ・メディチの肖像》からインスピレーションを得て配石した天然石ブレスレット1,944円(税込)。天然石なので色合いが微妙に異なります。お気に入りのものをお選びください。
「遥かなるルネサンス」展出品作品紹介
「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。
ブロンズィーノ(アーニョロ・ディ・コジモ・トーリ)
《ビア・デ・メディチの肖像》
1542年頃 油彩、板 64 x 48 cm
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
Antonio Quattrone, Firenze
トスカーナ大公コジモ一世の長女として知られる《ビア・デ・メディチの肖像》です。彼女は、コジモ1世が正妻エレオノーラ・ディ・トレドと結婚する前に、フィレンツェの貴婦人との間に生まれた子といわれています。異母兄弟とともに宮廷で大切に育てられましたが、1542年1月にわずか5歳もしくは6歳で亡くなりました。首から下げた大ぶりのチェーンの先には父コジモ一世の横顔が彫られたメダル。婚外子であってもメディチ家の一員として認められていたことを示しています。
ビアの死をとても悲しんだコジモ1世は、娘の思い出としてこの絵を描かせ、ヴェッキオ宮殿に飾らせました。絵が描かれてから約40年後、フィレンツェを少年使節が訪れます。彼らは当時のメディチ家当主フランチェスコ1世の住居だったヴェッキオ宮殿に数日間滞在し、いろいろな場所を見学しています。おそらくその時、少年たちは、日本人としてはじめてこの絵を見たにちがいありません。
この絵の作者は、1540年代にフィレンツェ公の肖像画家として活躍したアーニョロ・ブロンズィーノ。ブロンズィーノの画業のなかで、最も成功を収めた作品であると同時に、最も悲哀に満ちた作品の一つです。
メディチ家の至宝であるこの絵は、これまでイタリア国内はおろかフィレンツェ市を出ることもほとんどありませんでしたが、ウフィツィ美術館の協力と、作品を保護する特別な装置の開発で、今回初めて日本で展示することができました。
「遥かなるルネサンス」展グッズ紹介
「遥かなるルネサンス」展で販売されているグッズをご紹介いたします。
本展のメイン作品の《ビア・デ・メディチの肖像》に描かれているペンダントを描き起こしデザインいたしました。(ビアの父、コジモ1世の横顔が掘られたメダルです。)ブックマーカー700円(税込)、チャーム700円(税込)。












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